作業報告書やプレゼンテーションなどビジネス文書の作成にミスはつきものだ。誤字や脱字、英単語のつづり間違い、表記ゆれといったミスが発生する。そのため作成後に何度も見直しをするが、それでもミスが残っていて恥ずかしい思いをしたことがないだろうか。
ミスを少しでも減らしたいと思うなら、文書作成ソフトやかな漢字変換ソフトに含まれる校閲機能を使ってみよう。これらの機能は誤字や脱字、つづり間違いといった単純ミスだけでなく、ら抜き表現や重ね言葉といったミスも見つけてくれる。
今回は米Microsoft(マイクロソフト)の文書作成ソフト「Microsoft Word」とジャストシステムのかな漢字変換ソフト「ATOK」の校閲機能を取り上げて、使い方やカスタマイズ方法を紹介しよう。
Wordには複数の校閲機能が用意されている
Wordには「スペルチェック」や「表記ゆれチェック」などの自動校正と「オートコクレト」という自動修正の2種類の校閲機能が用意されている。それぞれがどんなミスを指摘するのかを見ていこう。
スペルチェックは英単語のつづり間違いや文字の二重入力など間違っている可能性がある箇所を自動抽出し、指摘箇所を赤色の波線で示す。例えば、Networkのつづりを間違えた「Netwark」や句読点の二重入力などが指摘される。
表記ゆれチェックは同じ単語なのにひらがな表記とカタカナ表記があったり、音引きのあるものとないものが混ざっていたりしていたときに指摘する機能だ。表記ゆれやら抜き表現など意味は通じるが直したほうがよいミスは、青色の二重線で指摘してくれる。
メニューから「校閲」を開いて「表記ゆれチェック」を選ぶと、文章内で見つかった表記ゆれが一覧表示される。統一する表記を候補から選んで「すべて修正」を実行すれば表記は統一される。
Wordには複数の校閲機能が用意されている
Wordのオートコレクトは、Wordで文字を入力するとき入力ミスと判断した単語を自動で修正する機能だ。例えば英語の定冠詞「the」を入力したときに先頭文字を大文字に自動変換したり、かっこの前後を自動で統一したりする。「(e)」と入力するとユーロの通貨記号に変換するなど、特定の文字列を記号に変換する機能もある。
便利な機能だが、固有名詞を入力するときは逆に邪魔になる可能性がある。文章によってオフにしてもよいだろう。
オートコレクトの対象を絞ったり、例外処理を設定したりすることもできる。Wordの「ファイル」から「オプション」を開き、文章校正のページにある「オートコレクトのオプション」で実行すれば設定画面が開く。
このWordのオプションから、スペルチェックの利き具合を調整可能だ。「Wordのスペルチェックと文章校正」にある「文章のスタイル」で、文章校正ルールを選べる。初期設定では「通常の文」になっているが、これを「通常の文(校正用)」や「公用文(校正用)」に変更すると指摘がより厳しくなる。例えば通常の文から通常の文(校正用)に変更すると、助詞の「の」の連続や当て字などに指摘が入る。また「設定」ボタンをクリックすると、指摘する内容をより細かく指定できる。
これらの校閲機能はWord内で有効な機能だ。ほかのアプリやメールなどで作成する文章に適用するときは、コピーアンドペーストでWordに貼り付けて実行すればよい。
Webブラウザーだけで手軽に使える
ジャストシステムのATOKには「ATOK Passport」のプレミアム契約(月額550円、年額6600円、どちらも税込)に「ATOKクラウドチェッカー」という文章校閲のWebアプリが含まれる。
ATOKクラウドチェッカーのWebページを開き、校閲したい文章をコピーアンドペーストで貼り付けるとその文章が自動的に校閲される。Webブラウザーだけで利用できるのでWordをインストールしていない環境でも使える。Webアプリなのでスマートフォンやタブレットから利用しやすい。メールやSNSの文章を手軽にチェックできるのがよいだろう。修正した文章はコピーアンドペーストで元のアプリに貼り付ける。
ATOKクラウドチェッカーでは指摘する内容を「誤りだけチェック」「ビジネス文チェック」「公用文チェック」「表記ゆれチェック」の4つから選択する。誤りだけチェックは誤字や脱字のほかに、熟語や外来語、助詞、慣用表現などの誤用を指摘する。機種依存文字やかっこの表記ゆれも指摘する。ビジネス文チェックは、誤りだけチェックの機能に加え、ら抜き表現やさ入れ表現、二重敬語、重ね言葉、同一助詞の連続などチェックが厳しくなる。
公用文チェックはビジネス文チェックをより厳しく、漢字基準や旧字体、送り仮名、難しい言葉の言い換えを指摘する。4つめの表記ゆれは表記がゆれている単語を指摘する。
ATOKクラウドチェッカーで校閲できる文章の長さは制限があり、半角で1万文字以内(全角文字は2文字と換算)。それを超える場合は分割してコピーアンドペーストするなど使い方を工夫する。
WordとATOKクラウドチェッカーの校閲機能の精度はかなり高い。だが、完璧ではない。あまり過信はせず、補助的に活用するとよいだろう。