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低コストと高い信頼性、そして柔軟性という3つの柱を高いレベルで実現するため、H3ロケットではさまざまな新技術を導入している。それは、機体の各所に見て取れる。組み込まれた機器だけでなく、その製造方法、さらに打ち上げを実施する射場でもH3は従来と一線を画す。今回はロボットなど工場における自動化設備を取り上げる。

 H3はH-IIAに対してコスト半減を目標にしているが、発注から打ち上げまでのリードタイムもH-IIAの2年を1年に短縮することを目指している。そこでH3の製造・組み立てでは、大量生産する民生品に近い自動化設備も導入した。コストダウンおよびリードタイム短縮のためだ。これまでロケットは、作業者が1つひとつ手で組み立てていた。

機体の接合やバルブの組み立てを自動化

 推進剤やガスの配管系には多数の逆止弁(チェックバルブ)が挟み込まれていて、配管内の逆流を抑止している。これらのバルブの製造は三菱重工業が担当しており、従来のH-IIA/Bではこれらのバルブは手組みだったが、H3では自動組立ラインを導入した。

逆止弁(チェックバルブ)の自動組み立て機(出所:三菱重工、JAXA勉強会資料)
逆止弁(チェックバルブ)の自動組み立て機(出所:三菱重工、JAXA勉強会資料)
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 同じく三菱重工が製造する第1段と第2段を接続する段間部の製造も自動化した。H-IIA/Bの段間部は、軽量な炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製で人手によって組み立てている。H3の段間部はコストダウンのために、CFRPよりもやや重量がかさむが安価なアルミニウム合金の波板にリベットを打って組み立てる。このリベット打ちは、作業者が手で行うのではなく自動打鋲(びょう)機が打つようにした。

第1段と第2段を接続する段間部の製造に導入された自動打鋲機(出所:三菱重工、JAXA勉強会資料)
第1段と第2段を接続する段間部の製造に導入された自動打鋲機(出所:三菱重工、JAXA勉強会資料)
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