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H3ロケットの打ち上げが2021年度中に予定されている現在、宇宙関連ビジネスに対して製造業の関係者はどのような関心を持っているのか。日経ものづくりが21年1月に実施した「宇宙関連ビジネス」に関するアンケート調査では、ほとんどの回答者が「日本は宇宙輸送システムを独自に持つべきだ」と考えているという結果が出た。宇宙関連ビジネスへの関心は高く、中でも「人や物資の輸送」や「リモートセンシング」が役立つと考える向きが多いようだ。自由回答には、「打ち上げシステムの開発プロジェクトを、官民一体で支援すべきだ」との声もあり、次代の日本を支える基幹産業として期待する姿が浮かび上がった。

Q1 宇宙輸送システムを日本が独自に所有すべきか

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人工衛星を宇宙に打ち上げるロケットなどの宇宙輸送システムを、日本が独自に「所有すべきだ」との回答は57.1%。「できれば所有したほうが良い」を合わせると89.3%とほぼ9割が独自所有に肯定的な意見だった。自由回答では、「大きな産業として育てるには、日本が自前のロケットを高品質で安く提供する必要がある。にもかかわらず、ロケット打ち上げ企業が少な過ぎる」との指摘があった。(回答数は245)

Q2 「使い捨てタイプ」と「再利用タイプ」のどちらが主流になるか

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1回の打ち上げで全てを使い切る「使い捨てタイプ」と、第1段ロケットなどを回収して再利用する「再利用タイプ」について、「『再利用タイプ』が主流になる」「どちらかといえば『再利用タイプ』が多くなる」を合わせると55.1%。「『使い捨てタイプ』が主流になる」「どちらかといえば『使い捨てタイプ』が多くなる」は合計で19.1%なので、その3倍弱だ。H3ロケットが目指す「究極の使い捨てロケット」が主流になるとする回答が少ない結果となった。(回答数は245)