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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2022年11月8日、種子島宇宙センターで2022年11月7日に実施したH3ロケットの1段実機型タンクステージ燃焼試験(CFT:Captive Firing Test)の結果を公表した。データ取得状況は良好。取得したデータの数値も、試験翌日の時点で概観した範囲内ではおおむね良好という。CFTは実質上、打ち上げ前の最終試験に当たる。H3ロケットは、年度内の初号機打ち上げに向けて着実に前進した。

H3のCFT噴射の様子
H3のCFT噴射の様子
(写真:JAXA)
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一部計測機器の電源投入ミスで試験が9時間遅れる

 CFTのエンジン点火は当初11月7日午前7時30分の実施を予定していたが、一部計測機器から信号が入らないというトラブルが発生して午後4時30分までずれ込んだ。H3を乗せた移動発射台(ML5)に設置した計測機器の電源が入っていないと確認。この時、既にロケット推進剤タンクに極低温推進剤(液体酸素と液体水素)が充填されつつあり、ロケット周辺は立ち入り禁止規制がかかっていた。

 このためトラブルシューティングとして推進剤タンクに充填した液体水素を一度抜き、作業者がML5に赴いて電源を投入した上で、再度充填する作業が必要となった。液体水素の抜き去りと再充填にはそれぞれ数時間かかるために、エンジン点火が約6時間遅延。「加えて、推進剤を慎重に充填した分で約3時間を要した」(JAXA H3プロジェクトマネージャの岡田匡史氏)。

 電源が入っていなかった理由は現状では不明。人為的ミスの可能性もあるので、調査した上で手順書への反映などの対策を実施する予定だ。

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機体組立棟から射点への機体移動の様子
機体組立棟から射点への機体移動の様子
試験前日午後6時半過ぎから行われた。(写真:JAXA)
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