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電源とネットワークの配線を終え、「マイサーバールーム」への機器収納もめどが付いた。自宅建て替えに合わせた趣味環境の整備もいよいよ大詰め。最も気に掛けていたオーディオ環境の全面見直しだ。

 自宅の建て替えにあたってオーディオ用の電源を最優先とした筆者だが、オーディオそのもののセットアップは一番の後回しにした。というのも、ここまであえて書いてこなかったが、筆者にとってオーディオは「ルームイコライジング」(以下、ルームEQ)と切っても切れないものだからである。

新居。窓の開いている部屋が書斎だ
新居。窓の開いている部屋が書斎だ
(筆者撮影)
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 ルームEQという言葉が耳慣れない人もいると思うが、誤解を恐れず簡単に説明すると、部屋の音響特性に応じて周波数特性を補正する技術だ。同じスピーカーを使っても、設置される部屋によってその特性(≒聞こえ方)は変わってしまうが、部屋の音響特性を測定し、それに応じて周波数特性を最適化すれば、スピーカーは持てる能力の範囲内でより正確な音を鳴らしてくれるようになる。

 いわゆる“ピュアオーディオ”の世界だと、ルームEQは「スピーカーの個性を殺す」として嫌われがちだが、スピーカーの個性を引き出すよりも、自分にとって好ましい音を鳴らす方がよほど重要というのが筆者の考えである。電源回りを自分なりに納得できるレベルで仕上げた上で、音を鳴らせるレベルにまで部屋を片付けたら、ルームEQでまず「鳴らしている環境におけるフラットで正確な音」をつかむ。そしてその上で好みの音にチューニングしていくというのが、最短かつ最も少ないコストで「いい音」にたどり着ける手段だと思う。

 念のため新居引き渡し後の時系列を整理しておくと、ネットワークの整備が最優先で、セカンドプライオリティーが本棚搬入と本および光学メディアの片付け。とにかくサイズが大きく邪魔なディスプレーの壁掛け、机の組み立てによる仕事環境整備、ベッド搬入によるカメラ機材片付けときて、やっとオーディオ関係だ。

部屋に合わせた音響チューニング用にMac miniを導入

 ルームEQを実現するにあたり、旧自宅ではイタリアの音楽/音響関連メーカーであるIK Multimedia(IKマルチメディア)のスピーカー・キャリブレーション・ソフトウエア&マイク「ARC System 2.5」と、音響機器ブランドであるBEHRINGER(ベリンガー)のルームEQ対応デジタルイコライザー「DEQ2496 ULTRACURVE PRO」を使い分けていた。

 しかし、筆者にとってオーディオの師匠でもあるサウンドデザイナー榎本 涼氏からの薦めでSonarworks(ソナーワークス)製のスピーカー・キャリブレーション・ソフトウエア&マイク「Reference 4 Studio Edition」を試したところ、これがすこぶるよい。しかもMac環境であればサウンドドライバーとしてReference 4を利用できるため、リッピングした音楽CDのデータだけでなく、「Spotify」や「Amazon Music HD」などといったサブスクリプション型サービスに対してもルームEQの結果を簡単に適用できる。これは使っていくしかないと、Mac miniともどもReference 4を導入した次第である。

Reference 4 Studio Edition:https://www.minet.jp/brand/sonarworks/reference-studio-edition/
Reference 4のために導入したMac mini。最近話題のM1プロセッサー搭載モデルではなく、Core i5搭載モデルだ。性能よりもソフトウエア互換性を重視した結果である
Reference 4のために導入したMac mini。最近話題のM1プロセッサー搭載モデルではなく、Core i5搭載モデルだ。性能よりもソフトウエア互換性を重視した結果である
(筆者撮影)
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Mac mini上で動作する「Reference 4」の画面
Mac mini上で動作する「Reference 4」の画面
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 Mac miniと接続するオーディオデバイスは独RMEの「ADI-2 DAC FS」。ADI-2 DAC FSのバランス出力からアクティブサブウーハーへ出力し、そこからアクティブスピーカーへ……という流れになる。

 さて、Reference 4の利用にあたっては、付属するマイクでスピーカーの特性を測り、その上でリスニングポイントを中心に合計30数カ所の音響特性を計測すればよい。すると、測定結果に応じた「フラットに補正した周波数特性」が手に入るから、あとはそれをReference 4から有効化すれば、サウンドデバイス――筆者の場合はADI-2 DAC FS――に対してルームEQを適用できる。

Reference 4にはシリアルナンバー入りのマイクが付属しており、シリアルナンバーを入力するとマイクの特性を読み出せる
Reference 4にはシリアルナンバー入りのマイクが付属しており、シリアルナンバーを入力するとマイクの特性を読み出せる
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細かい話で恐縮だが、Reference 4での測定にあたってSonarworksは「入力と出力で同じデバイスを使う」よう推奨している。だが、ADI-2 DAC FSはマイク入力がない。そのため筆者は非推奨であることを理解した上で手持ちのRME製サウンドデバイス「Fireface UCX」をマイク入力用デバイスとして使った次第だ
細かい話で恐縮だが、Reference 4での測定にあたってSonarworksは「入力と出力で同じデバイスを使う」よう推奨している。だが、ADI-2 DAC FSはマイク入力がない。そのため筆者は非推奨であることを理解した上で手持ちのRME製サウンドデバイス「Fireface UCX」をマイク入力用デバイスとして使った次第だ
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Reference 4のマイクで左右スピーカーの特性を1台ずつ計測する
Reference 4のマイクで左右スピーカーの特性を1台ずつ計測する
(筆者撮影)
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左右スピーカーの特性を測り、その上でリスニングポイントの特性を測ったら、その周辺30数カ所の特性も測る。計測にかかる時間は20分くらいだ
左右スピーカーの特性を測り、その上でリスニングポイントの特性を測ったら、その周辺30数カ所の特性も測る。計測にかかる時間は20分くらいだ
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 ADI-2 DAC FS側にある同軸デジタル入力は英iFi audio製Bluetoothレシーバー「ZEN Blue」とつなげた。手持ちの米Google製スマートフォン「Pixel 4 XL」からLDAC(※)経由でストリーミングして音楽を聞くこともできるように、である。もちろんこの場合もReference 4によるルームEQは利用可能だ。

※ LDACは音声データ圧縮技術の一種
ADI-2 DAC FS:https://synthax.jp/adi-2dac.html
ZEN Blue:http://ifi-audio.jp/zen/zen_blue.html
ADI-2 DAC FS(上段左)とZEN Blue(上段右)。その下にはオーディオデザイン製(左)とエーワイ電子製(右)のアナログ電源を置いてある。ダウントランスからアナログ電源を介してADI-2 DAC FSおよびZEN Blueを駆動させているわけである
ADI-2 DAC FS(上段左)とZEN Blue(上段右)。その下にはオーディオデザイン製(左)とエーワイ電子製(右)のアナログ電源を置いてある。ダウントランスからアナログ電源を介してADI-2 DAC FSおよびZEN Blueを駆動させているわけである
(筆者撮影)
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