全1203文字
PR

 クラウドのコストを削減するには、特性やサービスの動向を押さえたうえで、継続的に使い方を見直す必要がある。本特集では、鉄道の乗り換え案内サービスなどを提供するナビタイムの事例を中心に、最新のクラウドコスト削減のポイントを探る。同社は2019年、それまでオンプレミスのサーバーで運用していたシステムを米アマゾン・ウェブ・サービスの「Amazon Web Services(AWS)」へ移行完了して以来、コスト削減の工夫を積み重ねてきた。

 クラウドのコストを削減するうえではサーバーレスサービスの利用検討が欠かせない。例えばAWSの「AWS Lambda」は「オブジェクトストレージにファイルが書き込まれた」といったイベントをトリガーに、自動でコンテナを立ち上げてコードを実行し、終わればコンテナのリソースを解放する。処理する時間だけリソースを使うので、無駄が少ない。

図 処理量の変動に合わせたコスト削減法
図 処理量の変動に合わせたコスト削減法
スケーリングとサーバーレスの活用が重要
[画像のクリックで拡大表示]

 しかも2020年12月から課金の時間単位が1ミリ秒に変わり、余分な課金が抑えられるようになった。従来の課金は100ミリ秒単位で、端数の処理時間は切り上げられた。ナビタイムの小泉亮輔インフラエンジニア グループマネージャーは「当社のLambda利用は数ミリ秒の処理が多いので、コストが5分の1から10分の1に減った」と話す。

 サーバーレスの活用に詳しいオプタークの丸本健二郎代表は「サーバーレスのメリットは処理時間や処理量に応じた従量課金に加えて、サーバーを構築、運用するコストが不要になる点にある。半面、処理時間などの制約や特性、機能を理解するための学習コストがデメリットになる」と説明する。