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 本コラムの第2回と第3回では、VUCA時代(不確実性時代)に求められる “個人”の在り方について説明してきた。それでは、組織はどうあるべきだろうか。今回は「一体感」をキーワードに、“組織”の在り方について考える。

多様性の向上は組織の重要課題

 多様性の向上は、VUCA時代を生き抜くためのキーワードの一つだ。過去の経験則が通用しない中で組織が生き延びるためには、多様な考え方をぶつけ合い議論することが求められる。すでに先進的な企業では多様性の向上を経営課題であると捉え、人種や性別の偏りをなくすなどの取り組みが積極的に行われている。

 これまで紹介してきた個人の自律性向上も、多様性向上の強力な手段となりうる。自律性の高い人材は明確なビジョンを持っており、このような人材が集まることで組織の“考え方の多様性”が高まるからだ。

一体感の醸成が多様性を成果につなげるポイント

 一方、多様性の向上は組織の機能不全を引き起こす危険性もはらんでいる。カナダ・マギル大学(McGill University)のナンシー・J・アドラーは、「International Dimensions of Organizational Behavior, 2008」において、多様性と組織のパフォーマンスの関係性を調査している。これによると、多様性の高い組織は必ずしもパフォーマンスが高いわけではなく、逆に多様性のない組織よりもパフォーマンスが下がることがあるという結果を示している(図1)。多様性が理解されず適切に管理されていない場合、組織内の溝が深まり、最悪の場合は業務の妨害やメンバーの離職につながってしまう。

組織の多様性とパフォーマンスの関係
図1 組織の多様性とパフォーマンスの関係
多様性を高めることで組織のパフォーマンスが低下する危険性がある。(出所:ITID)
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 ここで、今回の主題である一体感が重要となる。「意見の対立を乗り越えてでも組織にとどまっていたい」、「意見の対立を乗り越えてでも組織で何かを成し遂げたい」。構成員一人ひとりがそう思えるような一体感のある組織は、多様性を成果につなげられるのである。

 では、一体感のある組織とは具体的にどのような状態を指すのだろうか。また、どうすれば一体感のある組織をつくることができるだろうか。本稿では集団凝集性という概念を紹介し、一体感について考えていく。