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ニューヨーク近代美術館(写真:名執 一雄)
ニューヨーク近代美術館(写真:名執 一雄)
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 ニューヨーカーに待ちに待たれた新生MoMA(ニューヨーク近代美術館)がオープンしたのは昨年11月20日。クイーンズでの仮住まいを経て4年ぶりにマンハッタンの地に戻ってきた。設計者は1997年にコンペで選ばれた谷口吉生氏を中心とするチーム。グランドオープニングから早くも10カ月近くがたったが、ここまで現地ではどのように受け入れられてきたのか。

 その反応を一言で表すなら、「基本的に絶賛」となる。基本的にと条件付きなのは、谷口氏の日本国内の建築を見ている建築家などは、やはり米国の施工レベルに対する不満や、現地側パートナーのKPFが主体で担当した部分(旧館の内部改装)に対する失望を語るし、一方、批判するのが仕事の評論家の言葉に単なる称賛はないからだ。だが、総体的には非常に評価が高い。

 内部の展示に関しては、常設コレクションのギャラリーが従来の型を踏襲しすぎている、有名な作品が似つかわしくないところに飾られている──例えば、階段室の壁面上部に掛けられている大きなマチスの「ダンス(1)」や、アトリウムの壁に孤立させられているモネの「睡蓮」──といった声も聞かれないではない。長年MoMAに親しんできた市民の中には、自分のお気に入りの絵や彫刻はこうした場所に飾られていてしかるべきという思い入れを持つ人たちも多い。各部門のキュレーターは今後、そうした一般からの声も考慮しながら、だんだんと展示替えを行っていくことだろう。この谷口氏のMoMAは、そうして育っていくことのできる大きな「器」なのだ。