全2447文字

 デジタルツインであるCPS4Dの技術的な詳細を見ていこう。CPS4Dのコアは、SIP4Dで収集した災害に関する様々な時系列データを蓄積する「災害動態時空間データベース(DDS-DB)」と、DDS-DBに蓄積したデータを分析して政府や都道府県知事の防災に関する意思決定を支援する「災害動態解析システム(DDS4D)」だ。DDS4Dには、時系列データの分析や将来予測のシミュレーションを実行できる「災害動態シンセサイザ(DDS-SY)」、その結果を分かりやすく視覚的に表示する「災害動態ビジュアライザ」といった機能がある。

CPS4Dの技術的な詳細
CPS4Dの技術的な詳細
出所:防災科学技術研究所
[画像のクリックで拡大表示]

 CPS4Dは災害に関する様々な分析やシミュレーションを実行できるプラットフォームのような存在だ。実際に利用する場合は、個別の災害シナリオに対応したアプリケーションである「災害動態情報プロダクツ」を、DDS4DやDDS-DBを活用して開発する。

 例えば前述の「避難所が密にならないような避難計画を立案する」というシステムを開発するにあたっては、CPS4Dに既に存在するアプリケーションの1つである「災害時保健医療福祉活動支援システム(D24H)」に、新型コロナに対応するための「オンデマンド感染シミュレーション機能」を追加した。それと同時にDDS4D上には、避難所の密度を予想する「オンデマンド避難動態予測機能」を追加。災害情報を集めるSIP4Dには、防疫分野のシステムとリアルタイムに連動する機能を追加するなどして、感染シミュレーションと避難所の密度予測を連携させ、密になりそうな避難所を抽出する新しいアプリケーションを実現した。

インフラはOracle Cloud

 DDS4DやDDS-DBは日本オラクルのパブリッククラウド「Oracle Cloud Infrastructure」で運用する。DDS-DBが使用するのは「Oracle Database(DB)」である。様々な政府機関や民間企業からSIP4Dを経由して送られてきた地理空間データはまず、DDS4Dのインポーターで形式を整え、Oracle DBで地理空間データを扱う「Oracle Spatial and Graph」機能を使って蓄積する。

DDS4DやDDS-DBのシステム構成
DDS4DやDDS-DBのシステム構成
出所:防災科学技術研究所
[画像のクリックで拡大表示]

 DDS4Dにおける様々な処理機能は、Oracle Cloud Infrastructure上のKubernetes環境で稼働している。災害に関する様々な情報を分析したり、被害状況を予想したりするデジタルツイン。その実態はKubernetes上で稼働する「クラウドネーティブアーキテクチャー」のシステムなのである。