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 NTTにとって、かつてない大勝負となる「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」構想。最初から世界を念頭に置き、IOWNの仕様を策定する団体「IOWN Global Forum」を米国に設立している。日本の情報通信産業が海外依存を脱却する契機になるのか。NTT代表取締役社長の澤田純氏に聞いた。(聞き手は堀越 功=日経クロステック、中道 理=日経クロステック/日経エレクトロニクス)

IOWN Global Forumには、設立メンバーの米Intel(インテル)やソニーに加え、米Microsoft(マイクロソフト)やスウェーデンEricsson(エリクソン)など世界大手が参画しています。こうしたプレーヤーはなぜIOWNに興味を持っているのでしょうか?

 IOWNは、世界で今動いている情報通信のアーキテクチャーを変えていく可能性があるためです。今から参画しておく必要があるという意識ではないでしょうか。今後数年で光電融合型のコパッケージ(編集注:LSIと光チップを混載した小型デバイスのこと)を出せれば、データセンターのコンピューティング環境やOSは劇的に変わります。製品やソリューションを提供するメーカーが敏感に反応しています。

 2020年夏のIOWN Global Forumの総会では、こうしたプレーヤーから提案書が何十と出てきました。IOWN構想に対する本気度が一段と増している表れだと思います。

「参加企業の本気度が一段と増している」と話すNTT社長の澤田純氏
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「参加企業の本気度が一段と増している」と話すNTT社長の澤田純氏
(撮影:加藤 康)

IOWN構想の公表からもうすぐ2年がたちます。現時点で構想実現に向けた課題は何でしょうか?

 IOWN構想は技術構想であり、現段階でまだビジネスモデルを明確にできていない点です。IOWN構想に基づいて、さまざまなハード製品やソフトウエアが出てくる可能性がありますが、プロダクトのエコシステムをどのように組み立てるのか。光電融合の生産技術をどのように組み立てていくのかなど、まだ数多くの課題が残っています。

生産技術を持つメーカーとの協業が重要になりそうです。

 NECに出資し、富士通やエリクソンなどとも議論しているのは、そうした狙いがあるからです。

IOWN構想のこれからのロードマップを教えてください。

 21年から、IOWNのユースケースの検討を始めようと考えています。まずは多地点の臨場感通信のような分野を検討しています。2025年には大阪万博や、ITER国際核融合エネルギー機構(ITER機構)がフランスに建設中の核融合実験炉において、IOWNの要素技術を先行導入することも考えています。

現在のインターネットはスケールメリットがあるからこそ、GAFAのようなプレーヤーが勝者総取りできます。それに対しIOWNは、高速道路のような新たなネットワークをつくるイメージです。スケール面では現在のインターネットにかなわないのではないでしょうか?