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2021年2月13日に福島県沖で発生したマグニチュード(M)7.3の地震で、最大震度6強を観測した福島県相馬市と新地町付近の被害状況を、地域微動探査協会の横山芳春事務局長が地震発生の翌日に調査した。地質と地盤の専門家である同氏が撮影した写真で、被災地の様子を伝える。
相馬市と新地町にまたがる相馬港では、液状化が発生しているのを道路面で確認できた。横山事務局長は「噴砂を手に取って観察すると、粒のそろった細かい砂が主体で、液状化の発生しやすい特徴を備えていた」と話す。港湾施設は一般に、浚渫(しゅんせつ)工事で取り除いた土砂を埋め立てに使うことが多いので、液状化が発生しやすい場所だ。地質図では盛り土層に当たる。
しかし、建物が液状化で沈下している様子は目視では確認できず、港の周りの住宅地では液状化の噴砂も見つからなかったと言う。液状化の被害がさほど深刻に見えなかった理由について横山事務局長は、「太平洋側の冬は降水量が少なく、地下水位が低い時期だったことが関係しているかもしれない」と分析する。