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 「震度6強を観測した地区で不適格な擁壁に被害を確認できないなんて、これまでの経験では考えられない」。地盤品質判定士の資格を持つ復建技術コンサルタント(仙台市)の佐藤真吾技師長は、2021年2月13日に福島県沖で発生したマグニチュード(M)7.3の地震で、震度6強を観測した福島県相馬市内を見て回った印象をこう話す。

 東日本大震災や熊本地震など最大震度が6強クラスの過去の地震では、震度6前後の地区で盛り土地盤の不適格な擁壁が著しく損傷し、住宅の不同沈下を招く深刻な被害が多数発生した。佐藤技師長はそれらの被害調査と復旧方法の検討を数多く手掛けてきた。

 佐藤技師長は今回の地震でもこうした被害を懸念して、相馬市内の住宅地を地震発生の翌日、見て回った。高台にある尾浜地区や粟津地区、柏崎地区などには古い石積みや増し積み、建築ブロックなどの不適格擁壁が多数存在していた。

 ところが、佐藤技師長が回った範囲では、擁壁に損傷や変状だけでなく、以前から生じていたと思われる亀裂の拡大も確認できなかったという。佐藤技師長は「震度6強の地震でも擁壁の被害が見られなかったのは、今回の地震動の特性と関係しているのではないか」と問い掛ける。

相馬市尾浜地区にある宅地の建築ブロック積みの不適格擁壁。以前から擁壁表面に生じていたと思われる亀裂がある。今回の地震で亀裂が変状した様子は佐藤技師長の目視では確認できなかった。2021年2月14日に撮影(写真:佐藤 真吾)
相馬市尾浜地区にある宅地の建築ブロック積みの不適格擁壁。以前から擁壁表面に生じていたと思われる亀裂がある。今回の地震で亀裂が変状した様子は佐藤技師長の目視では確認できなかった。2021年2月14日に撮影(写真:佐藤 真吾)
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相馬市尾浜地区にある別の宅地の空石積みの不適格擁壁。佐藤技師長の目視では無被害だった。2021年2月14日に撮影(写真:佐藤 真吾)
相馬市尾浜地区にある別の宅地の空石積みの不適格擁壁。佐藤技師長の目視では無被害だった。2021年2月14日に撮影(写真:佐藤 真吾)
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相馬市粟津地区の宅地。造成時につくられた間知ブロックの上に盛り土した不適格な3段増し積み擁壁だが、佐藤技師長の目視では無被害だった。2021年2月14日に撮影(写真:佐藤 真吾)
相馬市粟津地区の宅地。造成時につくられた間知ブロックの上に盛り土した不適格な3段増し積み擁壁だが、佐藤技師長の目視では無被害だった。2021年2月14日に撮影(写真:佐藤 真吾)
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相馬市柏崎地区にある宅地。劣化の著しい不適格な擁壁にブロック塀を建てた危険な状態だが、佐藤技師長の目視では被害を確認できなかった。2021年2月14日に撮影(写真:佐藤 真吾)
相馬市柏崎地区にある宅地。劣化の著しい不適格な擁壁にブロック塀を建てた危険な状態だが、佐藤技師長の目視では被害を確認できなかった。2021年2月14日に撮影(写真:佐藤 真吾)
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