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 京都市の西部、農地が広がるエリアの一画に150アールの畑がある。ここは京都市に本社を構える農業ベンチャー「オーガニックnico」の農場で、トマトやイチゴ、京都ならではの九条ネギなど季節に応じた野菜が育てられている。農地の多いこの地域では珍しくない風景だが、他の農場と決定的な違いがある。農業にDX(デジタルトランスフォーメーション)の考えを採り入れ、高度なセンサーから得たデータ分析に基づいた生産を行っていること、そして栽培が難しい有機農法にこだわっていることだ。

農業ベンチャーのオーガニックnicoは、農業に緻密なデータ分析の手法を持ち込み、難易度の高い有機農法に取り組んでいる。写真は同社が育てたイチゴ
農業ベンチャーのオーガニックnicoは、農業に緻密なデータ分析の手法を持ち込み、難易度の高い有機農法に取り組んでいる。写真は同社が育てたイチゴ
(出所:オーガニックnico)
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ミニトマトの収穫量、6年で4倍に

 これはオーガニックnicoの社長である中村新氏の経歴が大きく関係している。中村社長はオムロンにセンサー関連のエンジニアとして長年勤務したのち、農業の世界へ飛び込んだ。メーカー勤務からの転身先として農業を選んだ背景については「農学者でもあり有機農法の普及に尽力した父親の影響を強く受けた」(中村社長)という。

 一般的に有機農法で作られた野菜は付加価値が高い半面、化学的な農薬を使わないなどで栽培量が低くなりがちといわれている。しかし、中村社長が取り組んでいるデータ活用の効果は、文字通り「着実」に実を結んでいる。例えばミニトマトの1平方メートルあたりの収穫量は2014年に3キログラムだったが、2020年には4倍の12キログラムを超えた。