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大手リース会社、三井住友ファイナンス&リースは2020年度から2022年度までの中期経営計画の中で、自社が目指す姿の1つに「デジタル先進企業」を掲げている。ファイナンスやリースに関する新たな価値をもたらすサービスを生み出して提供していくためだ。社内で進めているDX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクトは30種類に上る。今回はこのうちの1つ、小口リース事業における審査や契約の電子化を推進するプロジェクトを取り上げる。

 2020年春以降、新型コロナウイルスの感染防止対策として在宅勤務をはじめとするテレワークを始める取引先が増えた。しかしリースの審査申込や契約は紙文書のやり取りが必要なため、テレワークになって業務がスムーズに進まなくなった。なんとか解決できないだろうか――。

 こうした問題意識から三井住友ファイナンス&リース(SMFL)は事務機器や厨房設備といった小口リース物件を対象に契約の電子化を進めている。2020年半ばに新電子契約システム「SECOND+電子契約」の開発を本格化させて、約半年後の2021年1月、試験稼働させた。試験稼働を機にSMFLは2022年度までに、年11万件の小口リース契約のうち4割を電子契約に切り替えていきたい考えだ。

三井住友ファイナンス&リースが開発した小口リースを対象にした新電子契約システム「SECOND+電子契約」の画面例
三井住友ファイナンス&リースが開発した小口リースを対象にした新電子契約システム「SECOND+電子契約」の画面例
(出所:三井住友ファイナンス&リース)
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 小口リースとは、メーカーや販売会社から納入された事務機器などの製品を、リース料金を支払うなどして利用できるようにする金融サービスだ。ベンダーリースとも呼ばれる。このサービスを利用するには、メーカーや販売会社に当たるサプライヤーと、製品を利用する顧客企業、SMFLの3者間で審査と契約を進めていく。

小口リースの審査や契約に関する3者間のやり取りと2020年半ばから三井住友ファイナンス&リースが講じた電子化に向けた施策。3者間のやり取りは矢印で示している
小口リースの審査や契約に関する3者間のやり取りと2020年半ばから三井住友ファイナンス&リースが講じた電子化に向けた施策。3者間のやり取りは矢印で示している
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 まずは審査だ。顧客企業とサプライヤーの商談の中で、リースで製品を利用することが決まると、顧客企業から依頼を受けたサプライヤーがSMFLにリース契約に向けて審査を申し込む。SMFLがサプライヤー経由でもらった顧客企業に関する情報などを審査して問題ないと判断すると、SMFLと顧客企業間で契約を締結。すると、顧客企業は製品をリースで利用できるようになる。

テレワークの普及で前例がない小口リースの電子契約に乗り出す

 一連のやり取りはこれまで、審査申込書を兼ねた紙の契約書を使って行うことが多かった。サプライヤーの担当者が顧客企業を訪問して契約書を記入してもらっていたり、サプライヤーの担当者がSMFLにファクスでリースの審査申込をしたりすることも多かった。

 SMFLはこれまでも審査などで電子化を進めてきた。審査を効率化できるようにサプライヤー向けWebシステム「SECOND PLUS」などを10年以上前から提供。サプライヤーの担当者は審査の申し込みや審査結果の確認、契約書の印刷などをオンラインでできるようにしていた。しかし、その後の契約は紙ベースだった。

 ところが2020年春以降、新型コロナウイルスの感染防止対策として、サプライヤーと顧客企業それぞれで在宅勤務をはじめとするテレワークが普及した。すると、「サプライヤーの担当者が顧客企業を訪問して紙の契約書を渡したり、顧客企業の担当者に契約書に押印してもらったりすることが難しくなってきた」とSMFLリテール開発部兼リテール人事室の星野陽副部長兼室付室長は説明する。

 コロナ下でもリースの手続きがスムーズに進まないと、顧客企業は業務に必要な製品をすぐに使うことができない。そこで、「小口リースの契約を電子化する事例は他社でもなかったが、紙文書や押印などをなくして素早くリース契約ができる仕組みを用意する必要があると考えて、DXプロジェクトを立ち上げることにした」(星野副部長)。