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自社の目指す姿の1つに「デジタル先進企業」を掲げている三井住友ファイナンス&リース。取り組むDX(デジタルトランスフォーメーション)は自社内にとどまらず、自社の外へと広がる。自社外、つまり取引先となり得る企業のDX支援は、デジタル先進企業としての同社の事業基盤を盤石にすることにもつながる。そんな思いから自らDXのためのツールを開発し、外販に乗り出した。その1つが2022年に入り、POSレジや、商品の在庫管理などの機能を加えた新サービス「assetforce for stera」だ。今回はこの新サービス開発プロジェクトの裏側に迫る。

 三井住友ファイナンス&リース(SMFL)と三井住友カード(SMCC)は2021年5月、「assetforce for stera」の開発プロジェクトをスタートさせ、新サービスの設計やユーザーに向けた調査、アプリケーションの開発を進めた。

内製力を生かし実質10カ月でリリース

 プロジェクトの特徴は、アプリケーションの開発を内製で進めた点だ。SMFLは事業会社ではあるものの、ITエンジニアを擁しており、資産管理SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の「assetforce(アセットフォース)」をはじめとするサービスの開発を自ら手掛けてきた。こうしたエキスパートがプロジェクトを推進したことで、様々な機能を備える新サービスを「実質10カ月で開発・リリースできた。内製100%の布陣のたまもの」と、SMFLの藤原雄デジタルラボ所長は説明する。

 SMCCのあるアプリケーション開発担当者によると内製ではなかった場合、新サービスの内容検討に半年、開発作業に2年ほどの年月がかかっていたかもしれないと話す。本来は2年半の期間を必要としたプロジェクトだったと言える。SMFLの工藤正之DX推進部ブラックベルトは「内製開発しているassetforce本体の基盤をそのまま活用することで、ベース部分の開発工数をカットできた。その基盤を基にプロトタイプを内製することで、早期に開発できたことも大きかった」と説明する。

 ただし、SMFLの工藤ブラックベルトによると、プロジェクトのスタート当初、想定しているサービスが顧客に受け入れられるかどうか不確かな状況だったという。そこで、「社内でのディスカッションを踏まえてプロトタイプに機能を盛り込み、それを実際に小売業の現場担当者などに見せてヒアリングをしたり、プロトタイプを触ってもらい意見をもらったりした。それを受けてバージョンアップしていった」と話す。

 プロトタイプを含めたシステムはSMFL所属のエンジニアが内製し、2021年夏ごろ、最初のプロトタイプをつくり顧客に見てもらった。「小売業の現場ニーズが高い機能を実装しなければ、顧客にサービスを十分利用してもらえない。そこで、内製力を生かして、機能などを実装したらすぐ顧客に見てもらい、さらにプロトタイプの改善を繰り返していった」(工藤ブラックベルト)。

「assetforce for stera」の開発に携わってきた三井住友ファイナンス&リースのメンバー
「assetforce for stera」の開発に携わってきた三井住友ファイナンス&リースのメンバー
(写真:日経クロステック)
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POSレジ機能の開発にチャレンジ

 このプロジェクトでチャレンジングな取り組みの1つがPOS(販売時点情報管理)レジ機能を新たに開発することだった。SMFLは当時、戦略子会社のSMFLみらいパートナーズと連携して、assetforceの提供を始めていた。assetforceには、入出庫管理や商品の棚卸し作業を効率化する機能を備えていた。しかし、店舗での会計処理データを基に在庫データを自動変更するための機能、例えば「A商品が3個売れた」といった情報を即座に在庫データに反映するPOS(販売時点情報管理)レジ機能はなかった。

 そこで、assetforce for steraは、SMCCが提供する決済プラットフォーム「stera」向けの新サービスとしてPOSレジ機能を新たに開発し、提供することにした。具体的には、stera専用の決済端末「stera terminal」向けにPOSレジ機能などを備えるアプリを開発。stera terminalをPOSレジとして利用できるようにする。

 プロジェクトのメンバーにとっても、POSレジ機能の開発は初めてだった。そこで2021年夏ごろまでの最初のプロトタイプ開発に当たり、既存のPOSレジサービスの提供機能を調査したほか、税理士といった有識者の協力を得て法律面や税制面から、POSレジに盛り込むべき仕様などを押さえていった。