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働き方は会社と個人の間で合意していくもの

 会社と個人はイーブンな関係。会社に対して個人が従属して命令に従うのではなく、個人の自由意思をできる限り尊重し、働き方は会社と個人の間で合意していくもの――。

 こうした考えの下、サイボウズは他社に先駆け、2012年から社員の副業を原則自由としている。社員が守るべき大原則は「会社の資産を毀損してはいけない」。副業で会社の資産を利用する場合と他社に雇用される場合のみ申請が必要という。

 「自分がしようとしている副業が会社の資産を利用することに当たるかどうかは、社員が主体的に考えるもの」(恩田志保人事労務部長)。そのため人事労務部は副業をしている社員の正確な人数を把握していない。ただ、外部調査によれば2018年段階で同社社員の約3割が副業をしていた。

 社員から申請があれば、同社のクラウド型プラットフォーム「kintone」で全社に公開する。副業をしたい社員が参考にしているという。

 副業をしている社員の1人が開発本部でプロダクト開発を支援するフロントエンドエキスパートとして働く小林徹さん(38)だ。毎週木曜日、人事労務クラウドサービスを手掛けるスマートHR(東京・港)でフロントエンド技術顧問という立場で副業をしている。申請した理由はスマートHRが競合に当たる可能性があると考えたためだ。

サイボウズでフロントエンドエキスパートを務める小林徹さん(中央)。毎週木曜、スマートHRのフロントエンド技術顧問として副業をする
サイボウズでフロントエンドエキスパートを務める小林徹さん(中央)。毎週木曜、スマートHRのフロントエンド技術顧問として副業をする
(写真:サイボウズ提供)
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 副業を就業時間外に限って認める企業が多いなか、サイボウズは同社の勤務時間を減らし、その分を副業に充てる働き方も認めている。

 小林さんが2018年11月にスマートHRで副業を始めた当初は2週間に1日の割合だったが、「関われる範囲が狭い」と感じた。一方で「家族もいるので副業時間だけを増やすのは厳しい」(小林さん)。そこで1年前から毎週木曜日を副業に充てることにした。サイボウズの給料は週5日勤務のときより減ったが、スマートHRからの報酬を足すと総収入は上がった。

 サイボウズが社員に求める資質は「自立」だ。「副業に限らず、多様な選択肢を用意し、個人が自分のやりたいことを自由に選択できるような会社であり続けたい」と恩田部長は話す。