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「会社と社員はイコールパートナー」

 2020年7月に「ギグパートナー」という名称で副業をしたい社外人材を募集し、注目を集めたヤフー。約4500人の応募の中から選ばれた104人の年齢は10歳から80歳までと幅広い。

 月5時間程度の稼働で5万円という報酬が多い。「年齢、居住地、スキルなど様々な意味で通常の中途採用では集まらないような多様な人が応募してくれた」と金谷俊樹コーポレートPD本部長は振り返る。

 同社では既に数百人の社員が副業をしている。2012年に当時の宮坂学社長(現東京都副知事)が「会社では得られない経験をすることで成長が加速する。どんどん副業をしてほしい」というメッセージを打ち出した。

 副業で多い案件は「知り合いのベンチャー企業などでシステムの設計から運用まで1人で手掛ける」「興味を持っている技術の腕を磨く」「社会課題を知るために町おこしを手伝う」などだ。「そもそもスキルが高くないと副業はしにくいが、副業をするとその経験で本業がさらに伸びるという相乗効果がある」(金谷本部長)。

 副業を拡大させる根底の考えについて、金谷本部長は「会社と従業員はイコールパートナーだ」と話す。「会社は社員に対する期待値を示し、それに相応するものを受け取ると同時に、社員が自らの価値を高めていける可能性が会社にあるのかを示す必要もある。社員もまた会社からの期待に応えるとともに、本業だけでなく副業からも様々な経験を積んで自らの価値を高め続けることが欠かせない」。金谷本部長はこう続ける。

副業は生産性の低い組織の活性化策

 「正規雇用は残ると思うが、会社に依存する生産性の低い人材を生み出してきたことも事実」。法政大学の田中教授はこう指摘する。

 こうしたなか、副業制度などを通じて個人の主体的なキャリア形成を支援することが会社の売り上げや生産性の向上につながると企業が気づき始めた。「副業は生産性の低い組織の活性化策の1つになる」(田中教授)。

 組織を活性化させようとすれば副業を推し進める必要があり、それが進むと「会社が個人を囲い込むのではなく、会社と個人の関係はよりフラットになっていく」。田中教授が見据える変化に対応できるか、企業経営の在り方が問われている。