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 格安スマホを手掛けるMVNO(仮想移動体通信事業者)はデータ通信と一緒に音声通話のサービスも展開する。データ通信の提供に当たって携帯大手に支払うデータ接続料は年々低下傾向なのに対し、音声通話の提供に当たって支払うレンタル料(以下、音声卸料金)は長らく高止まりが続いていた。この状況が変わりつつある。

基本料が高いのは不公正

 音声卸料金は約10年間にわたり見直されていない――。

 総務省の有識者会議「モバイル市場の競争環境に関する研究会」が中間報告書で問題を指摘したのは2019年4月。例えばNTTドコモの音声卸料金は割引適用後で基本料が666円、通話料が14円/30秒。中間報告書によると、ドコモはこの卸料金を2011年に設定してから変えていないという。

 MVNOが携帯大手から設備を借りる際の契約は「事業者間接続」と「卸電気通信役務」の2つの形態がある。事業者間接続の接続料は「原価+適正利潤」の水準と電気通信事業法で定めているのに対し、卸電気通信役務は「相対契約」に近く、携帯大手が卸料金を自由に決められる。音声通話は後者の卸電気通信役務の扱いとなるため、卸料金の高止まりを招いていた。

 携帯大手は当時、「MVNOの要望に応じて見直しを検討する」と表明していたが、実際にはソフトバンクが2020年9月に値下げしたのみ。この状況で携帯大手3社の料金競争に突入し、格安のオンライン専用プランが登場した。

 ドコモの「ahamo(アハモ)」は、月間データ通信量20ギガバイトに1回5分以内の国内通話かけ放題まで付いて月2700円(税抜き)。前述の通り、ドコモ回線を利用するMVNOでは音声通話サービスを提供するだけで666円の基本料負担が生じる。MVNOがahamoと同等のサービスを提供するのは相当に厳しい。

携帯大手における音声通話のコストは確実に下がっているとみられる
携帯大手における音声通話のコストは確実に下がっているとみられる
(出所:総務省)
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 一方、KDDIとソフトバンクはMVNO向けの音声卸料金を公表していないが、オンライン専用プランの「povo(ポヴォ)」や「LINEMO(ラインモ)」では1回5分以内の国内通話かけ放題を月500円のオプションとした。両社の音声卸料金の基本料が月500円を下回っていなければ、公正な競争環境が整っていないことになる。

 携帯大手3社は2021年2月8日、総務省の有識者会議「接続料の算定等に関する研究会」におけるヒアリングで音声卸料金を早期に値下げする方針を改めて表明した。2月24日の会合では値下げ後または値下げ予定の基本料と通話料を有識者限りで提示。有識者からは「大手3社で1.5倍の開きがあるのはなぜか」といった指摘も出たが、一定の低廉化は図られたもようだ。約10年かけて、ようやく値下げとなった。