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 市街地の大半が津波で流された岩手県陸前高田市。造成を伴う土地区画整理事業の面積は被災地の中でも最大級を誇る。ただし建物の整備はこれからのところが多く、10年がたっても復興は道半ばだ。

高田松原津波復興祈念公園から「奇跡の一本松」越しに今泉地区の高台に整備した宅地を望む。高台の右端が気仙小学校。写真左手の震災遺構は「陸前高田ユースホステル」。2021年2月10日撮影(写真:村上 昭浩)
高田松原津波復興祈念公園から「奇跡の一本松」越しに今泉地区の高台に整備した宅地を望む。高台の右端が気仙小学校。写真左手の震災遺構は「陸前高田ユースホステル」。2021年2月10日撮影(写真:村上 昭浩)
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 震災復興で生まれた今泉地区の高台造成地から、陸前高田市の市街地(高田地区)を一望できる。この造成地は、高田地区のかさ上げ用の土砂を得るために、山を掘削して造成された場所だ。切り土工事で発生した土砂は500万m3に上る。

 市街地をいち早く復興するために、切り土の搬出工事は早期に終わらせる必要があった。ただし500万m3をダンプトラックで運ぶとなると、近くの国道45号の渋滞は避けられず、他の復興事業に影響を及ぼしてしまう。そこで、大型のベルトコンベヤーで運ぶことにした。気仙川には工事期間に限定して、土砂を運ぶ専用の吊り橋を設置。「奇跡のかけ橋」という愛称で注目を集めた。

掘削した土砂を運ぶために造られた吊り橋。2014年2月撮影(写真:村上 昭浩)
掘削した土砂を運ぶために造られた吊り橋。2014年2月撮影(写真:村上 昭浩)
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現在の今泉地区からの景色。希望のかけ橋は解体され、2つの橋脚だけが残った(写真中央)。2021年2月10日撮影(写真:村上 昭浩)
現在の今泉地区からの景色。希望のかけ橋は解体され、2つの橋脚だけが残った(写真中央)。2021年2月10日撮影(写真:村上 昭浩)
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 今泉地区から高田地区に向かう途中に建物はない。広大な土地を縫うように道路が整備されている。そのため、高さ10m前後の盛り土造成地がひときわ目立つ。

高田地区の盛り土造成地。2021年2月10日撮影(写真:村上 昭浩)
高田地区の盛り土造成地。2021年2月10日撮影(写真:村上 昭浩)
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盛り土の手前にある震災遺構の米沢商会のビル。2021年2月10日撮影(写真:村上 昭浩)
盛り土の手前にある震災遺構の米沢商会のビル。2021年2月10日撮影(写真:村上 昭浩)
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 かさ上げした造成地にできた市の中心部である高田南地区には、「アバッセたかた」などの商業施設が立ち並ぶ。車や人の往来が多く、街ににぎわいが戻りつつある。一方、中心市街地から少し離れると、空き地が目立つ。国土交通省が2020年11月に開いた市街地復興事業検証委員会での資料によると、市街地復興事業後の土地活用率は今泉地区で30%強、高田地区で40%強と、他の地区と比べて低かった。

写真手前に見える施設は高田南地区にある大型複合商業施設の「アバッセたかた」(写真:村上 昭浩)
写真手前に見える施設は高田南地区にある大型複合商業施設の「アバッセたかた」(写真:村上 昭浩)
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気仙川沿いでは空き地が目立つ。2021年2月10日撮影(写真:日経コンストラクション)
気仙川沿いでは空き地が目立つ。2021年2月10日撮影(写真:日経コンストラクション)
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