事故を起こした福島第1原子力発電所の廃炉措置において、重要な作業の1つに使用済み燃料プール*1からの燃料集合体*2の取り出しがある。既に取り出しを終えた4号機、3号機に次いで作業が計画されているのが2号機。同機の使用済み燃料プールには、615体の燃料集合体が残されており、現在、2024~26年度の取り出し開始に向けて準備が進められているところだ。
計画では、同機の原子炉建屋(以下、建屋)南側の壁に開口を設け、「オペレーティングフロア」に使用済み燃料を取り出す「燃料取扱設備」を入れる*3。しかし、同機のオペレーティングフロアには、工具箱、フェンス、手すり、検査設備、スロープなどが事故当時のまま残されていた。取り出し作業に当たっては、まず、それら残置物を片付けて、放射線量を抑えなくてはならない(図1)。そこで東京電力ホールディングス(HD)は、18年8月から20年11月の2年余りをかけて、この残置物を撤去した。
燃料集合体を水中で一時的に保管・冷却する場所。原子炉建屋の上部に位置する。
原子炉に核燃料を出し入れする際に、取り扱いの最小単位となる製品。核燃料はペレットと呼ぶ直径10×高さ10mmの円筒形。複数個のペレットをジルコニウム合金製の被覆管に詰めて燃料棒とし、さらに複数本の燃料棒をまとめたのが燃料集合体。
その作業のために採用したのが、海外製の遠隔操作ロボットである(図2)。残置物の撤去に当たっては、2号機建屋西側の壁に開口を設け、「前室」と呼ばれる部屋を建設。そこから「遠隔廃炉メカ」を送り出して作業した。
残置物の撤去が終わった現在では、同フロアの放射線量が低下したとみられている。そこで同社は21年2月から、同じ遠隔操作ロボットを使い、放射線量のより詳細な計測を始めている。