長引く新型コロナウイルスの感染拡大問題――。政府は2021年3月8日、東京と千葉、埼玉、神奈川の1都3県を対象として同年1月8日から続く緊急事態宣言を延長した。新しい期限は3月21日までとなる予定だ。対面接客を主とする飲食業の中でも、スナックやバーは打撃を受けている。
新型コロナの逆風を受け、デジタル化を進めてきたスナックがある。東京の新橋でスナックと婚活支援を手掛ける「aeru(アエル)」である。同店を営む浦田みかさんは次のように振り返る。「2020年3月から新型コロナの影響が大きくなったことが、スナックのオンライン化に取り組むきっかけとなった」。
浦田さんは、Web会議ツール「Zoom」による非対面の接客体験を足がかりに、今では日常的にデジタルツールを使いオンライン接客や婚活相談をこなす。コロナ禍に迫られた格好だったが、この経験を生かして、次の一手にデジタルツール活用を考えている。
aeruは2012年に開業した。10席程度のアットホームな空間で、婚活支援を特徴とする。開業以来、浦田さんの紹介により約70組が結婚したほどだ。来店動機は、女性客は婚活目的が多く、男性客は婚活目的とスナック目的が半々という。男女とも会社員が大半だが、女性は看護師や保育士も来店する。
Zoomでオンラインスナックを始める
2020年4月に政府が発令した1回目の緊急事態宣言を受け、浦田さんはスナック営業を休止し、婚活相談を継続した。相談者とのソーシャルディスタンス(社会的距離)に配慮しながら実施し、「売り上げは5分の1に落ち込んだ」(浦田さん)。
危機感を抱いた浦田さんが始めたのがWeb会議ツール「Zoom」によるオンラインスナックである。常連を集めて2020年4月に試験的に2度開いた。「お客さんにIT企業の人がいて勧められた。Zoomって何?という状態から始めたが、やってみたら面白かった」と話す。女性のグループ客が恋愛相談をしたいと言ってきてオンラインでやってみたら反応がよかったという。