「DX人材」とは何か――。デジタルトランスフォーメーション(DX)の機運が高まる中、このシンプルな問いの答えを模索し人材の採用と育成に奔走する企業が増えている。DXを推進するための人材像はどのようなものか、どうすれば必要な人材を確保できるのか。DX先進企業への取材で明らかにする。
企業や組織でデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める人材、すなわち「DX人材」の需要が急速に高まっている。人材サービスのビズリーチによれば、同社の転職サイトにおける「DX関連求人」の数はここ2年半で約2.5倍に増えた。求人票のタイトルか仕事内容にDX関連の業務を表す単語を含む求人数を集計した。同社の転職サイトにおける2018年1~3月のDX関連求人を1とすると、2020年7~9月は2.46だった。同じ期間で集計した求人全体の指数である1.54を上回る 。
求人を出す側のユーザー企業にはIT関連人材の不足感が広がっている。情報処理推進機構(IPA)の「IT人材白書2020」によれば、2019年度の調査でユーザー企業821社の約9割が、自社のIT人材の量と質に対して「大幅に不足している」または「やや不足している」と回答した。IT人材の量に関して「大幅に不足している」と回答した企業の割合は、過去5年間で増え続けている。
需要が供給を上回っているため「DX人材の採用難度は高い」(ビズリーチの枝広憲執行役員CSO兼DX推進室室長)。DX推進組織を作ってDX人材の中途採用を早くから進める大手企業でも、複数の人材を採用できた例は「数えるほどしかない」とリクルートキャリアの早崎士郎マネジャーは話す。採用に成功した企業でもいまだに「どのように採用すればよいか悩んでいる」(同)状況だ。
需要が高まるDX人材をどう集めるか。DXを目指す企業は、いま改めて戦略を練る必要がありそうだ。