ダイキン工業、旭化成、JFEスチールの3社はDX人材の社内育成を進めている。共通するのは「現場百遍」とも言える姿勢だ。座学で終わらせず、現場の課題解決に取り組ませる。
企業 | 主な取り組み |
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ダイキン工業 | 社内大学「ダイキン情報技術大学(DICT)」で毎年約100人の新入社員を育成。1年間の実地研修で現場の課題に取り組む |
旭化成 | 現場の課題を半年間かけて解決する OJTの育成プログラムを用意。1年で約40人が受講 |
JFEスチール | データサイエンスに関する知識レベル別の教育プログラムを用意。「DS伝道者」は実際の現場の課題を解決させるプログラムで育成 |
社内大学で新入社員を2年間育成
ダイキン工業は社内大学「ダイキン情報技術大学(DICT)」を開き、2018年度から毎年約100人の新入社員をDX人材として育てている。空調機(エアコン)の大手である同社は、AI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)の技術を生かして新製品の開発などを目指しているという。
DICTに入った新入社員は、入社後2年間かけてAIやIoTなどの専門的知識を学ぶ。内容は出身学部にかかわらず同じだ。入学は希望制で、技術職として入社する大卒の新入社員約300人から希望者を約100人募る 。受講に専念させるため、受講生は事業部での業務を2年間免除するという力の入れ具合だ。
カリキュラムは1年目と2年目で大きく異なる。1年目は基礎となる知識を座学などで徹底的に教える。講義内容は「事業ビジョンの理解」「コンピューターシステムの基礎」「空調・化学などの業務・技術知識」「AI/IoTの専門知識」「業務理解のためのフィールドワーク」など多岐にわたる。AIとIoTに関しては「大学院修士レベル」(ダイキン工業の今井達也人事本部人事・労政・労務グループ長)の内容で、統計やデータ解析は提携する大阪大学の教授が講義するという。
2年目は実地研修を行う。営業、開発、製造、間接部門といった「現場の泥臭いところ」(今井人事・労政・労務グループ長)に数人のグループを派遣し、工場の生産計画の最適化やルームエアコンの販売予測といった現場の課題解決に取り組ませる。学んだ知識を現場で実際に活用する能力を養う狙いだ 。