脱炭素でなければ日本でも海外でもビジネスができない時代に入った。事業計画から研究開発計画、製品企画、設備投資、取引先との打ち合わせ……。業務のあらゆる領域でビジネスパーソンには脱炭素に関するさまざまな知識が求められるようになっている。ところが、脱炭素の対象は広すぎて何から押さえておくべきか迷うという人も多い。そこで、共通知識として重要で、かつビジネスチャンスにもつながり得るキーワードを選び、その定義から最新動向までをスッキリと分かるように解説する。

今から間に合う 脱炭素キーワード10
目次
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第10回 消費者の心に刺さる「グリーン材料」、抜群の好印象が購買を促す
キーワード10「グリーン材料」
二酸化炭素(CO2)の排出量を抑えるカーボンニュートラル(炭素中立)時代に、一般の消費者に抜群の好印象を与えるのが「グリーン材料」だ。グリーン材料は環境負荷軽減に貢献する材料の総称で、特に炭素中立の条件を満たす植物由来の原料を使った材料を指す。その代表格にバイオマスプラスチックがある。
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第9回 移動で脱炭素、スマート交通の主役は「MaaS」か
キーワード9「スマート交通」
政府が2020年末に決定した温暖化ガスの排出量ゼロを目指す「グリーン成長戦略」に基づき、人の移動において脱炭素化を図る交通システム「スマート交通」へのシフトが進みそうだ。スマート交通では、自家用車への依存度を下げるため、電動化や自動化した公共交通機関の利用を促す。短距離の移動手段には自転車を推奨し…
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第8回 再エネ拡大の鍵握る「浮体式」発電、洋上風力の課題を超えるか
キーワード8「浮体式洋上風力発電」
「2050年カーボンニュートラル」実現の成否を大きく左右する再生可能エネルギー。日本はその比率を17%(19年)から約50~60%(50年)にまで高めることを狙う。その最大の鍵を握るのが「浮体式洋上風力発電」だ。
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第7回 メタネーションでCO2を資源に、大阪ガスも新型SOECで挑戦
キーワード7「メタネーション」
温暖化ガスの発生を抑える技術だけではない。温暖化ガスを利用・消費する技術にも注目が集まっている。そして今、温暖化ガスを利用・消費する技術として有望視されているものに「メタネーション」がある。
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第6回 「交換式電池」で“無限”に走る ホンダ先導、脱炭素車を便利に
キーワード6「脱炭素モビリティー」
電気自動車(EV)を筆頭に、走行時の二酸化炭素(CO2)の排出量を抑える電動車「脱炭素モビリティー(脱炭素車)」。その利便性を高める取り組みにカーボンニュートラルの追い風が吹いている。
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第5回 動き出したカーボンプライシング強化、EUが押す炭素国境調整
キーワード5「カーボンプライシング」
「カーボンプライシング」への注目度がビジネスパーソンの間で急速に高まっている。導入議論が今後、本格化することが必至だからだ。
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第4回 中国を巻き返せるか、「マイクロEV」普及の鍵は低価格化
キーワード4「マイクロEV」
「マイクロEV」が一躍注目を浴びている。軽自動車よりもコンパクトで小回りのきく小型の電気自動車(EV)のことだ。超小型EVや低速EV(LSEV:Low Speed EV)とも表現される。2030年代半ばまでにガソリンエンジン車の販売を禁止する方針を日本政府が打ち出したことが、世間の視線をこの新しい…
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第3回 「再燃」する水素社会 トヨタ攻勢、いざ160兆円市場へ
キーワード3「水素社会」
水素をエネルギーとして多用途で使う「水素社会」を目指す動きが「再燃」している。2020年10月の菅義偉首相の所信表明演説が着火剤になった。首相は、温暖化ガスの排出を実質ゼロにする「脱炭素社会」を50年までに実現すると宣言。実現手段の1つとして、水素関連技術が注目を集めている。水素インフラの世界市場…
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第2回 再エネとEVは2次電池とセット、コストと性能で使い分け
キーワード2「次世代電池」
充放電して使える2次電池が、カーボンニュートラル時代に入った今、市場の期待を一身に集めている。理由は大きく2つある。1つは、再生可能エネルギーの調整に必須だからである。太陽光発電や風力発電は発電量が天候によって大きく左右されるため、需給バランスを整えるために、大容量の蓄電設備をセットで用意する必要…
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第1回 脱炭素が事業継続の必須条件、負担から商機への転換が鍵
キーワード1「カーボンニュートラル」
カーボンニュートラルの実現により、「脱炭素社会」を目指す動きが活発になっている。カーボンニュートラルとは、温暖化ガスの排出と吸収(または除去)を調整し、排出量と吸収量をほぼ等しくすることで、大気中の炭素(または二酸化炭素)濃度を一定に抑えようとする試みである。