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新型コロナウイルスによる累計の感染者数や死者数が世界で最も多い米国では、ソーシャルディスタンスをサポートするロボットへの注目がいやがおうにも高まった。特にサービスロボットと呼ばれる、従来の製造業向けロボット以外の分野の発展が目覚ましい。米国在住のフリーランス・ジャーナリストの瀧口範子氏に、最新事情を報告してもらう。(本誌)

 小売店舗でもロボットの導入が進んでいる。店舗用ロボットは、米国でも数社が手がけてきた。

 だが、実際の活用についてはROI(Return On Investment)の確保が難しいようだ。例えば米Bossa Nova Roboticsは、スーパーの店内を巡回して商品棚の在庫をモニターするロボットを開発、最大手の米Walmartが少しずつ導入を進めてきた(図8)。20年初頭には1000店舗に拡大する計画を発表していたが、同年11月にWalmartは「もっと安い別の方法を採用する」と突然5年間に及んだテストプログラムの終了を発表した。コロナ禍中にオンラインショッピングが増加し、多数の店員が店内にいて商品のピッキングに対応できることで、ロボットによる自動化の必要性がなくなったのが理由とみられる。

図8 ROI確保が難しい店舗ロボット
図8 ROI確保が難しい店舗ロボット
Walmartが導入を進めていたBossa Nova Roboticsの店舗ロボットだが、20年11月にWalmartからテストプログラムの終了が発表された。(写真:Bossa Nova Robotics)
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 米国での店舗ロボットは、ただ客に挨拶をしたりする以上の機能性が求められてきた。日曜大工店チェーン用に開発された米Fellow Robotsの製品は、求める商品を告げると売り場まで案内したり関連商品を表示したりするのに加えて、在庫管理システムとも連動していた。同社は現在、ビジネスモデルを変えてAIを利用したデータセンター管理や医療関連施設での在庫管理システムに参入している。

 また、米Badger Technologiesの店舗ロボットは当初、床上の商品破損を認識していたが、その後Bossa Novaと同様の商品棚管理機能も加えた。地方のスーパーチェーンなどで導入が進み、コロナ禍に見舞われた後は、UV-C照射装置を付加したロボットも発表した。今後店舗がオンラインショッピングの倉庫も兼ねるようになると言われる状況下で、店舗ロボットがどういった変更を迫られるのかは興味深いところだ。