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 新型コロナウイルスが国内で猛威を振るうようになって1年が過ぎた。初期の混乱は一気に危機に変わり、その後、「ウィズコロナ」と呼ばれるウイルスとの共生期に入っている。この間、様々な「ひずみ」が顕在化した。日経クロステックの新サービス「フカメル」の第2弾として、ひずみにあらがう現状と、その解決策となり得る「コロナテック」を網羅的に検証していく。

(背景写真右:米国立アレルギー感染症研究所)
(背景写真右:米国立アレルギー感染症研究所)
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 「ひずみ」の元来の意味は、連続体力学における物体の変形状態を表す尺度である。物体を引っ張れば、程度の差こそあれその方向に伸びる。元の長さにおける変形量の割合が一般的な「ひずみ」の定義である。我々が暮らす世界という物体は、新型コロナによって伸びるように変形した。この変形=変容の中でひずみが生じ、我々の生活に負の側面をもたらしているのではないか。コロナショックによる一義的な打撃は、1年たって、ひずみへと進化している。

 日経クロステックは2020年6月、新型コロナの影響を明らかにしながらその後の展望を描いたムック「アフターコロナ」を発行した。本連載はその続編に当たるものだ。

 ひずみの最たる例が、新型コロナ追跡システムだろう。濃厚接触者などを特定する「ニューノーマル」を象徴する技術だが、国や自治体のシステムで開発や運用の問題が相次ぎ、利用も十分に広がっていない。感染拡大防止の切り札として機能するか、正念場を迎えている。

 厚生労働省の「COCOA」は、Android版で接触を検知・通知できない状態が約4カ月続いた。利用率は約2割にとどまる。東京都や大阪府のシステムでも半年にわたって「通知0件」という衝撃の事態が明らかになっている。

 より小さな共同体の新型コロナ追跡システムが「現実解」になる可能性も出てきた。東京大学はビーコンを使う独自のアプリ「MOCHA」を開発。学生が思わず使いたくなるような機能の数々で、利用者を増やしているという。

 連載の初回は新型コロナ追跡システムを取り上げ、ひずみの実態を明らかにする。

現れたひずみ、正念場のコロナテック

 「日経クロステック フカメル」は渾身(こんしん)の連載記事8本とウェビナーがセットになった新サービスです。第2弾として、新型コロナウイルスで生まれた「ひずみ」の今を詳報します。

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 ヘルスケア領域では、他の課題も浮かび上がっている。感染状況を把握する聞き取り調査では、感染者からの情報開示が進まない場合、クラスター発生の特定に限界があった。臨床検査を受けるのは主に新型コロナの症状がある人に限られるという条件もあった。こうした課題に対し、意外なテクノロジーが注目を集める。

 聞き取り調査と臨床検査を補完する方法としての、下水の解析である。下水の解析は無症状の患者からの新型コロナも検知できる可能性があり、早期に感染状況を把握できると期待される。

 世界中で大学などの施設や下水処理場の下水から新型コロナを検出する取り組みが始まったが、日本での実用化には解決すべき課題が残る。その1つが下水中の新型コロナを検出する感度の向上だ。新規事業の一環として下水中の新型コロナの解析を手掛ける塩野義製薬は、北海道大学と共同で検出感度を高める手法を開発した。

 下水の解析は将来の新しい感染症に備えたシステムや家畜の感染症対策などにもつながる可能性がある。これまで各自治体は、感染症対策と下水道管理を別々の部署で担ってきたが、今後は両者が密接に連携しながら施策に取り組むことが重要となりそうだ。こうした取り組みも詳報したい。