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結局、都市の在り方は変わらないのか

 コロナ禍で在宅勤務が普及すれば、地方移住が進み、東京一極集中が終わる──。こうした予測の下、移住者の受け皿の確保に動く地方自治体が多くみられた。2020年の東京都の人口移動をみると7月以降は転出超過が続いている。しかし、転出先は神奈川県や千葉県といった首都近郊が多く、地方への転出は極めて少ない。都市から地方への住み替えは容易ではなく、都市に人や様々な機能が集積することは変わらないとの見方が出てきた。

 生活スタイルや働き方の変化に、住宅・都市が対応できていないという問題も浮かび上がった。在宅時間が増えたことで、「1人になれる空間がない」「仕事スペースがない」など快適性を追求したはずの住宅に対する不満が生まれ、公共空間の充実を求める声が大きくなっている。こうした「空間」におけるひずみも検証したい。

 変化を受けて国土交通省が設置した有識者懇談会は、WEDO(Walkable、Eye level、Diversity、Open)をキーワードに街路や公園、民間空地などを活用した「職住遊融合」の街づくりが重要だと提言。21年2月末時点で、全国305の自治体がこの提言に賛同し、公共空間の拡大・改変・利活用に向けて動き出した。

 連載の最後は、非接触化を実現する「コンタクトレステック」を取り上げる。ニーズが加速し、特に大きな伸びを見せているのが、清掃や警備、配送などを代替するサービスロボットだ。わずか1年で販売台数が1万台を超えた清掃ロボが登場するなど、なかなか進まなかった社会実装がコロナ禍を“追い風”にして急速に進みつつある。

 一方、導入が現実味を帯びたことで、実運用に耐え得るか、ROI(投資利益率)に見合うかなど、これまでは本気で考えられていなかった課題やコストが浮き彫りになった。さらにコロナ禍による業績不振で、新たに投資する余裕が奪われるなど、“向かい風”も大きい。

 コンタクトレステックはまだ黎明(れいめい)期だ。需要は高まるものの、感染拡大防止だけでは成り立たない。深刻な人手不足などの社会課題の解決と組み合わさってこそ、真価を発揮する。実用性がはっきりと見えない技術もあり、社会に根付くのかどうかの正念場を迎えている。