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 SI事業の変革待ったなし――。システム開発を生業とするシステムインテグレーター(SIer)が主力としてきた受託開発ビジネスの先行きが不透明になっている。「従来型のご用聞きによるシステム開発では立ちいかなくなる」というのが業界全体の共通認識だ。そうした中、大手SIer各社はご用聞きから脱して、ユーザー企業と共に新たな製品やサービスを創出する取り組みを進めている。受託思考を取り払い、真の意味でユーザー企業のITパートナーへと脱皮できるか。SIの「ニューノーマル」を目指す専業各社の今を追う。今回はTISの取り組みに迫る。

 「ITで、社会の願いをかなえよう」――。TISインテックグループのTISは2020年、グループ初となるテレビコマーシャル(CM)の放送を始めた。俳優の古田新太氏が扮(ふん)するランプの魔神がビジネスパーソンの要望をかなえる姿をコミカルに描いたCMだ。

 TISは、金融や製造、流通・サービス、公共、通信など幅広い業界のシステム開発を手掛けるが、BtoB(法人向け)のビジネスに徹していることもあって一般消費者への知名度は低い。TISの河村正和執行役員企画本部経営管理部長は「(CMを始めたのは)社会に広くサービスを提供する企業としてブランドを構築するとともに、従来型のシステムインテグレーション(SI)からの変革という思いも込めた」と語る。

TISの河村正和執行役員企画本部経営管理部長
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TISの河村正和執行役員企画本部経営管理部長
(写真提供:TIS)

 TISは、2018年度に策定した中期経営計画が2021年3月期で最終年度を迎えた。この計画では「個別の顧客視点」「個別のカスタムメイド」「労働集約型」といった従来型のSIビジネスからの脱却を目指し、社会課題の解決や先回りの提案、知識集約型への変革に取り組んできた。収益構造も人月単位ではなく、サブスクリプション(継続課金)など多様な課金体系への転換を進めた。

 それらの成果として、売上高や営業利益率の目標を計画よりも1年前倒しの2020年3月期に達成した。従来型のSIではない、サービス型やプラットフォーム型のビジネスを中心とする事業セグメント「サービスIT」の売上高は、2021年3月期には計画策定の2018年度から約14.4%増の1345億円に達する見通しだ。