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 ここで紹介したチューニング例はあくまでも1つの例であり、実際の運用では問題となった処理の解析、ボトルネックの特定、ボトルネックに適した対処法を講じなければ効果は出ません。RedshiftもPostgreSQLと同様にクエリーの実行計画やコスト、結合方式などを確認できるため、他のRDBMSと同じようなチューニングのアプローチも可能です。

 AWSはRedshiftについて、オンプレミスでDWHを構築した場合に比べて、10分の1の費用で利用できるとしています。Redshiftは構築フェーズと運用フェーズで、オンプレミスで構築するDWHよりもはるかに簡単に利用できます。しかし、Redshiftの特徴を把握しておかなければ対処できないこともあり、本来のRedshiftのパフォーマンスを引き出せないケースも発生します。

 オンプレミスでDWHを構築して時間とコストを多く費やすよりも、データを保全し、処理性能や環境全体を管理できるエンジニアを配置するアプローチのほうが建設的であり、これこそDXを進める上で重要なことだと筆者は考えます。オンプレミスからAWSに移行する場合、まずはS3にデータを集めてデータレイクを充実させ、先々Redshiftをミニマムで使い始めて、ビジネスやシステムの成長に合わせて徐々にDWHとして成長させるロードマップを描くのがいいでしょう。

川上 明久(かわかみ・あきひさ)
アクアシステムズ 執行役員 技術部長
データベースのモデリングや構築などのコンサルティングに多数の実績・経験を持つ。データベース関連の著書やIT系メディア記事の執筆・連載、セミナー・講演も多数手がけ、急増するクラウド化への要望に対応できるエンジニアの育成や技術・スキル向上支援に力を注ぐ。
夏目 裕一(なつめ・ゆういち)
アクアシステムズ 技術部
前職では大手ネット証券システムに従事し、DBAの統括やプロジェクトマネージャーを経験。2017年にアクアシステムズに入社後、元々興味のあったゲーム業界やメディア系などの案件で、システム移行やパフォーマンスチューニング、コンサルタントなどを担当。