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ぐるっと写真撮影で手軽に仮想化

 既存のモデルハウスを仮想空間内に再現する方法を選択する企業もある。注文住宅を手掛ける平尾工務店(兵庫県加東市)が取り組む「VRモデルハウス」はその一例だ。360度カメラを使用して仮想空間内にモデルハウスを再現した。

平尾工務店のVRモデルハウス、神戸東モデル「RATTENBURY」の内観(出所:平尾工務店)
平尾工務店のVRモデルハウス、神戸東モデル「RATTENBURY」の内観(出所:平尾工務店)
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 360度カメラとは一般的に、周囲360度をパノラマ写真として撮影できるデジタルカメラのことだ。上下と水平方向を撮影できる全天球型と水平方向のみ撮影可能な半天球型の2種類がある。全天球型の360度カメラは、米Google(グーグル)が提供する地図情報サービス「Google Map」で利用されていることで有名だ。Google Mapで実際の様子を表示する機能「ストリートビュー」で使用している。

 この360度カメラで室内を撮影した場合、撮影ポイントから周囲を見回すようなパノラマ画像が得られる。そのパノラマ画像を住宅内の要所ごとに撮影して図面上で組み合わせることで、仮想空間内でモデルハウスの再現が可能というわけだ。

CGと写真のいいとこ取り

 VR技術には、3DCGと360度カメラの写真技術を組み合わせたようなものもある。前出の3Dエビスビール記念館はその一例だ。

 不動産業界ではこの手法を早くから取り入れていた。野村不動産ソリューションズが運営する不動産情報サイト「ノムコム」は17年から取り組んでいる。不動産購入の検討者を支援するために用意した「3Dウォークスルー動画機能」がそれだ。3Dモデル内を歩き回るように内覧できるほか、測定機能を使って廊下や開口部の幅などを測ることができる。

不動産情報サイトのノムコムは「3Dウォークスルー動画機能」を導入。3Dモデルで作成しているため、部屋を斜め上から見下ろすように確認することもできる(出所:野村不動産ソリューションズ)
不動産情報サイトのノムコムは「3Dウォークスルー動画機能」を導入。3Dモデルで作成しているため、部屋を斜め上から見下ろすように確認することもできる(出所:野村不動産ソリューションズ)
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不動産情報サイトのノムコムの3Dウォークスルー動画機能は、掲載物件のVR内覧ができるほか開口部などの寸法を測れる機能もある(出所:野村不動産ソリューションズ)
不動産情報サイトのノムコムの3Dウォークスルー動画機能は、掲載物件のVR内覧ができるほか開口部などの寸法を測れる機能もある(出所:野村不動産ソリューションズ)
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 ノムコムの同機能を支えているのが、米国のベンチャー企業Matterport(マターポート)が提供するVR制作サービス「マターポート」だ。基本的には、360度カメラのような全天球型カメラでの撮影と赤外線を使った3Dスキャンを同時に行う独自の「マターポートカメラ」を用いる。3Dスキャンによって得た空間の測位データと、同時に撮影した写真データを融合して、仮想空間内に3Dモデルで建物を再現する。

 このVR技術はマターポート独自の技術を使用している。そのため活用する際は、同社が提供するWebサービスの利用が必要だ。日本では専門の撮影代行サービスを提供する企業がある。