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 数あるVR(仮想現実)技術の中でも手軽に挑戦できる技術として注目しておきたい「フォトグラメトリー」。精工な3D(3次元)モデルの作成はハードルが高いものの、簡易な3Dモデルであれば所有するパソコンやデジタルカメラで試せるのが利点だ。本連載では、VR事業などを手掛けるPsychic VR Labの一岡洋佑氏が、フォトグラメトリーを使った3Dモデル作成のノウハウを解説する。実際に3Dモデルを作成すればVRの基礎を理解しやすいので、役立ててほしい。(日経クロステック)

 建物を3Dモデルで仮想空間内に再現して、中を自由に歩き回る――。3Dモデルを活用したコンテンツが増えてきた。これらの事例を見て「自分の事業でも活用できないか」と考える人もいるだろう。だが、いざ始めるとなると何から手を付けたらよいのか分からないケースが少なくない。

 そこで本連載では3Dモデルを活用したVR技術の基礎を学ぶ一端として、フォトグラメトリーに注目した。フォトグラメトリーとは、写真測量法の技術の1つだ。最近ではパソコンやソフトウエアの性能が向上したことで、簡易な3Dモデルであれば手軽に作成できることで注目を集めている。

 簡単に仕組みをおさらいしておこう。3Dモデルを作成する対象物をさまざまな角度から撮影。撮影した複数の写真画像をパソコンなどで解析し共通する特徴点を検出する。その特徴点などから、撮影位置や距離、角度の差異などを計算して空間座標を算出する。このデータを使って3DCGを作成し、そこに写真データを合成して物体を再現する。

動画で見るフォトグラメトリーを使った3Dモデル作成の大まかな流れ
さまざまな角度から撮影した複数の写真を解析して空間座標を計算。写真データを使って室内の一部分を仮想空間内に再現する(資料:日経クロステック)

 簡易な3Dモデルの場合、細部に荒さが残るものの、空間の雰囲気がきちんと伝わるものに仕上げることができる。本連載では、この簡易な3Dモデルを目標にノウハウを説明する。入門編ということで撮影する写真の枚数を抑えるために、住宅内の一部分を仮想空間内に再現することを目標とした。

 まずは準備から始めよう。本格的にフォトグラメトリーで3Dモデルを作成するにはさまざまな機材を駆使して細かいポイントに気を配る必要がある。だが、細かいことにこだわりすぎず、手軽に始められるのがフォトグラメトリーの魅力の1つだ。今回は入門編ということなので、なるべく機材などへの新規投資を抑える方法で進めたい。極端に言ってしまえば、予算0円でも可能な3Dモデルの作成に挑戦する。

 最低限必要な機材は主に3つある。デジカメ、パソコン、そしてフォトグラメトリー用のソフトだ。それぞれ、どのようなことに注意しながら機材を選定すればよいか。一番重要なポイントでもあるデジカメの選定から説明していこう。

センサーサイズと有効画素数に注意

 フォトグラメトリーで精度の高い3Dモデルを作成するには、クオリティーの高い写真が必要だ。理想は高解像度で鮮明な写真といえる。ピントが合っていなかったり、手ぶれや白とびなどが生じていたりすると、フォトグラメトリーの精度が落ちてしまうので注意したい。

 そのような写真の撮影を避けるためには、性能の高いデジカメを使用するのが望ましい。一般的には、高性能な一眼レフもしくはミラーレス一眼カメラが使われることが多い。高性能なデジカメといっても最近はさまざまな製品がある。選定時には、センサー(撮像素子)のサイズと有効画素数に着目するとよい。