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 今回のように室内を撮影する場合、家具や建具などさまざまな物がカメラの撮影範囲に置かれているだろう。撮影範囲にフォトグラメトリーの妨げになるものがあると3Dモデル作成時に失敗する原因となってしまう。必要に応じて家具を片付けるなど撮影環境を整えたい。

 撮影範囲から移動できないようなものは、対策を施しておきたい。例えば、窓はカーテンを閉めておく、鏡は取り外したり撮影する際に布などで覆い隠したりするといった工夫だ。これを怠ると3Dモデルが大きくゆがみかねない。しっかりと対策しておこう。

テレビの画面を布で覆うといった対処の有無で、それぞれ3Dモデルの作成結果がどのように異なるかを比較。対処しないと3Dモデルが破綻して、画面に穴が空いたようになってしまった(出所:日経クロステック)
テレビの画面を布で覆うといった対処の有無で、それぞれ3Dモデルの作成結果がどのように異なるかを比較。対処しないと3Dモデルが破綻して、画面に穴が空いたようになってしまった(出所:日経クロステック)
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 悩ましいのが、照明器具だ。フォトグラメトリーの場合、3Dモデルの作成時に撮影した写真から表面の質感を再現する。そのため、撮影時に照明がついていて物に影が生じていれば、その影も再現されてしまう。どのような空間を3Dモデルとして再現するかを考えて照明をつけるようにしたい。

 ただし、室内が暗いと撮影した写真がぼやけるなど不鮮明になりがちだ。不鮮明な写真は空間座標を解析する際の妨げとなる。なるべく明るい状態での撮影がお勧めだ。また、ペンダントライトといった光が直接見えるようなタイプの照明器具は注意が必要だ。鏡の場合と同様に、光が強過ぎると写真の解析の妨げとなり破綻しやすい。

 以下の表にフォトグラメトリーでの3Dモデル作成時に苦手とする撮影対象の一例をまとめた。

フォトグラメトリーでの3Dモデル作成時に苦手とする撮影対象(出所:一岡 洋佑)
フォトグラメトリーでの3Dモデル作成時に苦手とする撮影対象(出所:一岡 洋佑)
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一筆書きで撮影

 室内の準備ができたら、ここからは撮影のノウハウについて話を進めよう。まずはカメラの準備だ。撮影に必要なカメラのスペックなどについては前回解説しているのでそちらを参考にしてほしい。今回は具体的な撮影時の注意点について解説する。

 最初に確認しておきたいのは、写真データのフォーマットだ。3Dモデルを作成する際に使う写真は、なるべく高画質で鮮明なものを用意したい。より精度の高いフォトグラメトリーを目指す場合、写真データのフォーマットとして一般的に「RAW」データの使用が推奨されている。とはいえ、RAWデータの取り扱いに慣れていなかったり、そもそもRAWデータで保存できないカメラを使用していたりするのであれば、「JPEG」形式でも問題ない。

 スマホなどのカメラ機能を使う場合は注意が必要だ。例えば、米Apple(アップル)のスマホ「iPhone」を使って写真を撮影する場合、画像データの保存方式が特殊な規格となっていることがある。このようなケースでは、パソコンに写真データを取り込む段階でデータを「JPEG」形式に変換し保存するといった作業を忘れないようにしよう。

 次に写真の撮影方法について見ていこう。撮影は、3Dモデルを作成したい範囲の撮り忘れがないように計画的に行うのが重要だ。そもそも写真に写っていない部分は3Dモデルとして作成できない。また、複数の写真に写っていない範囲も同様に、3Dモデルがつくれないので注意したい。