米Apple(アップル)が電気自動車(EV)の開発を模索する中、早くもどんな車か百家争鳴の様相だ。スマートフォンを発明したAppleならば、既存の退屈な車を再定義するとの期待が高まる。一方で自動車産業の秩序を破壊しかねない。ビジネスモデル、開発、生産、販売、部品供給網(サプライチェーン)に変革を迫る。2025年前後の量産と噂されるアップルカー。各界の識者の見方を基に、その破壊力を見通す。

百家争鳴Appleカー
目次
-
「車は垂直統合と水平分業の併存へ」 ティアフォー創業者
私はこう見る(18)
自動運転スタートアップのティアフォーが、パートナー戦略を加速している。同社が関わる自動運転の基本ソフト「オートウエア」の普及団体がこのほど、台湾・鴻海精密工業が進めるEVプラットフォーム「MIH」の普及団体と連携することを決めた。車でパソコンやスマートフォンのような「水平分業」のものづくりは進むの…
-
技術リスク取らぬアップル、テスラと異なる ADL・鈴木氏
私はこう見る(17)
米Apple(アップル)が電気自動車(EV)の開発を模索する中、よく比較されるのが米Tesla(テスラ)である。似ているようで大きく異なる2社の開発戦略について、自動車産業に詳しいアーサー・ディ・リトル・ジャパンでパートナーの鈴木裕人氏に聞いた。
-
「車載HMI、開発スピード5倍に対応する」 アルプスアルパイン社長
私はこう見る(16)
部品のコモディティー(汎用品)化が叫ばれる中、各社が次世代車両で個性を発揮しようとしているのが車内空間である。米Apple(アップル)やソニーなどの新規参入組だけでなく、既存の自動車メーカーも新しい車内体験を模索する。車載HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)大手のアルプスアルパインで社長…
-
「電池の供給網、機動性が必要」 エンビジョンAESC社長
私はこう見る(15)
自動車の電動化が急速に進む中、車載電池の重要性が高まっている。電池の増産計画が相次ぐ一方、リコールも増えてきた。エンビジョンAESCグループは日産自動車の車載電池事業とNECの電極製造事業が源流であり、車載電池への知見が深い。社長兼最高経営責任者(CEO)の松本昌一氏に、電池産業の行く末を聞いた。
-
「顧客は自動車メーカー以外に広がる」 ZF日本法人社長
私はこう見る(14)
自動車産業が100年に1度の変革期を迎える中、欧州のメガサプライヤーは再編を繰り返し、電動化や自動運転など「CASE」への対応を早くから進めてきた。足元では欧州勢は電気自動車(EV)へのシフトを加速させている。ドイツのメガサプライヤーであるZFの日本法人、ゼット・エフ・ジャパン社長の多田直純氏に、…
-
「ダイムラーとの収益分配契約が業界に変革」 NVIDIA幹部
私はこう見る(13)
クルマの価値がハードウエアからソフトウエアに移りつつある自動車業界。その象徴が米Apple(アップル)やソニー、中国のIT大手などの新規参入だろう。新規勢を含め多くの企業が次世代車両の中核に据えるのが高性能な車載コンピューターで、その有力サプライヤーが米NVIDIA(エヌビディア)だ。同社で自動車…
-
「揺れない車」アップルカーに期待 東大院・暦本教授
私はこう見る(12)
米Apple(アップル)が電気自動車の開発を模索する。同社の躍進を支えたのが優れたユーザーインターフェース(UI)である。マルチタッチなど革新的なUIでiPhoneなどの利便性を向上させてきた。UI研究の泰斗で、Appleの強みを知る東京大学大学院教授でソニーコンピュータサイエンス研究所副所長の暦…
-
「アップルと共存する仕組みの構築を」 東大・大口敬教授
私はこう見る(11)
自動車業界は百年に一度の変革期といわれている。IT企業の電気自動車(EV)への新規参入が相次ぐ中、自動車産業や交通システムにどのような影響を与えるのか。交通制御工学が専門で、東京大学の生産技術研究所次世代モビリティ研究センター長を務める大口敬教授に話を聞いた。
-
下請けかパートナーか、アップルカーが示す分岐点 きづき長島氏
私はこう見る(10)
米Apple(アップル)の自動車市場への参入で、部品メーカー間の競争激化が予想されている。ライバルがひしめく中で好機を呼び込むにはどうしたらいいか。自動車業界に精通するきづきアーキテクト代表取締役の長島聡氏は、「重要なのは姿勢」と説く。同氏は独Roland Berger(ローランド・ベルガー)日本…
-
「レクサスはなぜEVじゃないの?」 Google対トヨタ著者
私はこう見る(9)
米アップルが電気自動車の開発を模索する。自動運転時代の新しい競争を見据えた「Google vs トヨタ」と題した書籍を2014年にいち早く出版し、テック企業に詳しいナビゲータープラットフォーム取締役で証券アナリストの泉田良輔氏にApple参入の狙いや影響を聞いた。
-
「エンジンは2030年前後でピークアウト」 前川・リケン社長
私はこう見る(8)
エンジン部品のピストンリングを主力とするリケンは、電動化が加速する中、エンジン関連部品で効率化を進めつつ、新たな収益の柱の構築を急いでいる。米Apple(アップル)のEV参入観測が浮上するなど、エンジンを取り巻く環境が厳しさを増す。どう勝ち残るのか。社長の前川泰則氏に聞いた。
-
「我々が新規参入者の痛みを軽減」 ボッシュ日本法人社長
私はこう見る(7)
米Apple(アップル)を筆頭に、ソニーや中国のIT勢など、自動車業界に新しいプレーヤーが続々と参入してきそうだ。こうした変化を部品メーカーはどう捉えているか。ドイツのメガサプライヤーであるBosch(ボッシュ)の日本法人で社長を務めるKlaus Meder(クラウス・メーダー)氏に話を聞いた。
-
第4回 アップルカーの受注獲得、部品メーカーに3つの新流儀
米Apple(アップル)は敵か味方か――。ユーザーを奪い合う格好になる自動車メーカーにとっては脅威だが、サプライヤーから見ると部品の供給先を増やせる絶好のチャンスだ。ただし、受注の取り方は変わる。「アップルカー」に代表される次世代車両が求める価値を提供できるか。新しい流儀での取り組みが始まった。
-
「Appleは循環型経済を重視」 伊藤忠総研・深尾氏
私はこう見る(5)
米Apple(アップル)はSDGs(持続可能な開発目標)を重視する経営姿勢で知られる。次世代のモビリティービジネスを研究している伊藤忠総研上席主任研究員の深尾三四郎氏は、仮にAppleが自動車産業に参入した場合、SDGsを重視したサプライチェーンの構築に動くとみる。
-
「OTAできないEVは競争力を失う」 名大・野辺客員准教授
私はこう見る(6)
自動車産業でソフトウエアの重要性が高まっている。自動車への参入がささやかれる米Apple(アップル)が得意とする領域だ。名古屋大学未来社会創造機構で客員准教授の野辺継男氏に、自動車産業で高まるソフトの影響などを聞いた。
-
第3回 車に「水平分業」の足音、鴻海・ティアフォー連合の衝撃
米Apple(アップル)など異業種の自動車分野への相次ぐ参入は、産業の構造を大きく変える「破壊力」を秘める。特に設計に特化し生産は手掛けないファブレス企業の台頭で、これまでの自動車メーカーを頂点とした垂直統合のビジネスモデルは、スマートフォンのような水平分業へと変容するとの見方も多い。こうした変化…
-
「アップルカー参入は宿命」 ナカニシ自動車産業リサーチ代表
私はこう見る(4)
米Apple(アップル)の自動車参入の可能性がささやかれる中、どのようなインパクトを自動車産業に与えるのか。トップアナリストとして自動車産業を見続けてきたナカニシ自動車産業リサーチ代表の中西孝樹氏に、アップルカーの衝撃を洞察してもらった。
-
「スマホ技術資産、車開発に応用」 川西・ソニー執行役員
私はこう見る(3)
ソニーが電気自動車の試作車「VISION-S」の公道走行に乗り出した。2019年1月に世界最大のデジタル技術見本市「CES」で初めて披露し、20年12月からオーストリアで実際の路上で試験走行を始めた。Apple(アップル)カーの開発がささやかれるなか、ソニーは試作車の先に何を見据えるのか。開発を率…
-
第2回 ソニーカー、スマホ流どこまで 張り巡らすギガ級イーサネット
ソニーが、電気自動車「VISION-S」の公道実験に早くもこぎ着けた。スマートフォンの開発手法やソフト資産を存分に生かす。車両の中身に迫ると、自動運転センサー開発の一環にとどまらず、車両全体の統合制御に奮闘する姿が浮き彫りになる。スマホの王者である米Apple(アップル)がEV開発を模索する中、ソ…
-
「アップルが車を再定義」 前刀・元アップル日本法人代表
私はこう見る(2)
米Appleが電気自動車(EV)に参入する観測が高まっている。「iPhone」で世界を席巻したAppleならどんなクルマを作り、どう売っていくか。Apple米国本社マーケティング担当バイス・プレジデント(副社長)兼日本法人代表取締役を務めた前刀禎明氏に読み解いてもらった。(聞き手は清水 孝輔=日本…