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 自動運転スタートアップのティアフォー(名古屋市)が、パートナー戦略を加速している。同社が関わる自動運転の基本ソフト(OS)「Autoware(オートウエア)」の普及団体がこのほど、台湾・鴻海精密工業(Hon Hai Precision Industry)などが進める電気自動車(EV)プラットフォーム「MIH」の普及団体と連携することを決めた。車でパソコンやスマートフォンのような「水平分業」のものづくりは進むのか。ティアフォー創業者で東京大学准教授の加藤真平氏に聞いた。(聞き手は押切 智義=日本経済新聞社)

加藤真平氏
加藤真平氏
(写真:ティアフォー)
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米Apple(アップル)など異業種の参入は自動車産業にどんなインパクトを与えそうですか。

 現在、自動車産業への参入が進むIT企業は、ソフトやハードのオープン化を進めている。自動車業界でも同じことが進み、その先にはゴールの多様化があるだろう。これまでは優れた車を造ることが自動車産業のゴールで、この産業ピラミッドの頂点に自動車メーカーがいた。今後は脱炭素、街づくり、モビリティーサービスと、ゴールが多様化していく。このゴールに合わせてピラミッドの頂点が変わるという産業構造に変化していくのではないか。

垂直統合のビジネスモデルは変化しそうですか。

 自動車産業の垂直統合のビジネスモデルは、一定部分は残ると思う。内燃機関を開発して造るのは職人芸だし、簡単にまねできるものではない。一方でITなどの異業種が引っ越ししてくることで、水平分業などの彼らの文化も取り入れられていく。ピラミッド型の垂直統合、そしてプレーヤーが水平につながる「フラット」な産業構造が併存する世界になるのではないか。