全1877文字
PR

 楽天モバイルに割り当てられることが決まった5G(第5世代移動通信システム)向け1.7ギガヘルツ帯周波数。わずか1枠に対して4社が競り合ったものの、落選した他社は悔しがる素振りを見せていない。むしろ、本命は現在議論中のプラチナバンド再配分問題だ。こちらは楽天モバイルの要望が一歩退けられ、一進一退の攻防が続く。

過去の募集時には申請者が現れず

 総務省は2021年1月から2月にかけて5G向け1.7ギガヘルツ帯1枠の申請を募集し、楽天モバイルのほか、NTTドコモ、KDDI(沖縄セルラー電話)、ソフトバンクの4社が申請していた。総務省は審査の結果、楽天モバイルに割り当てると4月14日に発表した。

総務省が公表した1.7ギガヘルツ帯追加割り当ての審査結果
総務省が公表した1.7ギガヘルツ帯追加割り当ての審査結果
(出所:総務省)
[画像のクリックで拡大表示]

 楽天モバイルが獲得した決め手は、総務省が今回の審査項目として新たに加えた「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」(2020年10月公表)への取り組み状況だ。楽天モバイルは、このアクション・プランの内容に沿った「SIMロック解除に関わる取り組み」「スマートフォンなどへのeSIM導入に関わる取り組み」といった審査項目で他社を上回る評価を受け、総合点でトップになった。

 ただ落選した他社の反応を見る限り、今回の周波数は是が非でも確保したいというほどでもなかったようだ。例えば総合点で楽天モバイルに次ぐ2位となったドコモは、「5G用に割り当てられた(別の)周波数帯による高速大容量エリアの展開を引き続き進めることに変わりはない」と冷静にコメントする。

 それもそのはず。今回の割り当て対象となった周波数は東名阪以外という条件付きだ。1.7ギガヘルツ帯の周波数はドコモ(東名阪のみ)とKDDI、ソフトバンクも獲得済みであり、あまり魅力的な帯域ではない。

 実際、今回割り当て対象の周波数は過去に一度募集したものの、その際は申請者が現れなかった。2018年1月から2月にかけて実施した1.7ギガヘルツ帯と3.4ギガヘルツ帯の割り当て募集だ。当時は、1.7ギガヘルツ帯の東名阪バンドを持つドコモが、残りの東名阪以外の地域を含めて確保に動くとみられていたが、「東名阪以外の地方でも高い人口カバー率を課せられることは割に合わない」(ドコモ関係者)として同社は申請しなかった。

 こうした事情を踏まえると、楽天モバイルへの追加割り当ては順当であり、他社にとっては痛くもかゆくもない結果と言える。