成長領域へのシフトが遅れるNTTドコモ、コム子会社化で変わるか
NTTドコモも今後の成長の柱としているのは、非通信と法人に当たるスマートライフ領域である。22年3月期の営業利益予想において、値下げのインパクトを受ける通信事業は前年比2%減とするものの、スマートライフ領域は同9%増を目指し、トータルの営業利益予想を同0.7%増とした。
NTTドコモは、KDDIやソフトバンクと比べて相対的に成長分野へのシフトが遅れている。各社でセグメントの定義は微妙に異なるものの、スマートライフ領域を成長分野とすると、同社の22年3月期の業績予想における成長分野が占める割合は、売上高で約24%、営業利益で約23%だ。3~4割に達するKDDIやソフトバンクと比べて貢献度は少ない。KDDIやソフトバンクは近年、積極的なM&A(合併・買収)で非通信分野を強化してきたのに対し、NTTドコモは大きな手を打ってこなかったからだと考えられる。
もっともNTTドコモは、21年夏にもNTTコミュニケーションズとNTTコムウェアを子会社化する計画だ。その結果、NTTドコモの業績に占める非通信と法人事業が寄与する割合は高まるだろう。
足元では、値下げのインパクトを最小限にするために、通信事業のコスト削減に取り組む考えだ。NTTドコモの井伊氏は「値下げのインパクトはかなりしっかりある。通信事業の営業利益予想は対前年111億円のマイナスとしているが、これはコスト削減施策を含めて、マイナス111億円にとどめたと受け止めてもらったほうが正しい」と説明する。
販売代理店への手数料削減など、販売チャネルのコスト削減についても大きなメスが入りそうだ。井伊氏は「携帯ショップは、マイナンバーカードなど世の中で必要とされるデジタル化のサポートを有償でやっていくことで、全体としての収益構造を再構築してもらいたい。ahamoをきっかけに販売チャネルのデジタル化を進めていく」と語る。