「mineo(マイネオ)」ブランドで携帯電話サービスを展開するオプテージ(大阪市)が攻勢を強めている。2021年2月に新料金プラン「マイピタ」を投入。6月1日からはパケット量を追加するチャージの単価を引き下げるほか、データ通信が最大1.5メガビット/秒の速度で使い放題となる新サービス「パケット放題 Plus」も始める。
オプテージをはじめとした格安スマホ事業者は、携帯大手の相次ぐ料金の引き下げや楽天モバイルの新規参入などで厳しい状況に置かれている。月額負担の低さでは依然として優位性は残るものの、価格差が縮小して安さの魅力が弱まったからだ。もろ刃の剣となりかねない使い放題の投入は、吉と出るか凶と出るか。
混雑時の通信速度を2倍へ
パケット放題 Plusは、専用アプリ「mineoスイッチ」で節約モードをオンにすると、契約した月間データ通信量を消費することなく、最大1.5メガビット/秒の速度でデータ通信が使い放題になるオプションサービスだ。10ギガバイト以上の契約者であれば無料、10ギガバイト未満の契約者は月額385円(税込み、以下同じ)の追加料金を支払うことで利用できる。節約モードをオフにすると、月間データ通信量を消費する通常の高速通信に戻る。
同社はこれまでも最大500キロビット/秒の速度でデータ通信が使い放題となる「パケット放題」を提供してきた。21年3月からこの上限を同1メガビットや同1.5メガビット/秒に引き上げるトライアルを実施し、今回のパケット放題 Plusは「お得さと快適さのバランスで決めた」(福留康和モバイル事業戦略部長)という。
トライアル参加者へのアンケートによると、「十分すぎる速度」「十分な速度でちょうどよい」との回答が最大1メガビット/秒では計32%に対し、最大1.5メガビット/秒では計77%に達した。「やや遅いが十分」という回答を含めると、最大1.5メガビット/秒では96%が「問題ない速度」と評価した。
さらに使い心地を聞くと、最大1.5メガビット/秒では動画視聴やWeb会議、地図アプリなど多くのサービスにおいて「利用できた」との回答が80%超に達した。「パケット放題の増速を求める声は多く、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動変容でスマホの需要も広がっている。より安心して使ってもらいたい」(福留部長)と自信を示す。
新サービスの投入でネットワークの負荷増大も懸念されるが、この点についてもぬかりはない。21年4月から携帯各社と接続する帯域を大幅に増強。同社は昼の混雑時の通信速度について最低限確保する基準を内部で設けており、4月以降はこの基準を従来の2倍に引き上げた。この維持を目指して増強を図っていくという。