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 「iモード」や「EZweb」などで一世を風靡した3Gサービスの終了が近づいている。2022年3月末に終了するKDDI(au)を皮切りに、24年1月下旬終了のソフトバンク、26年3月末終了のNTTドコモと、これから1〜5年の間で立て続けに終わりを迎える。

 3Gサービス終了に伴って重要になるのが、契約の「巻き取り」だ。3G契約者を、あの手この手で4Gや5G(第5世代移動通信システム)に移行させる。サービス終了期日までに移行してもらえなければ、契約数の大幅減を余儀なくされる。一方、4Gや5Gに移行してもらい早期に3G運用を終了することで、ネットワーク運用コストを抑えられるメリットがある。3Gで利用されることが多いフィーチャーフォンからスマートフォンへの移行に伴って新たな収益機会が増すことにもなる。

 総務省の調べによると、20年12月末時点の国内3G契約数は約2800万件とそれなりの規模が残っている。携帯各社にとって約2800万件の3G巻き取りは、5Gの拡大と同じくらい重要な競争上のポイントとなる。

終了まで1年切ったKDDI、「巻き取りは順調」

 携帯大手3社の中で、3G巻き取りで先頭を走るのが、終了まで既に1年を切ったKDDIだ。同社の高橋誠社長は21年5月の決算会見で、「コロナ禍で若干遅れた部分もあるが、3Gの巻き取りの進捗はコンシューマー系、法人系ともに順調に推移している」とした。

3G終了まで1年を切ったKDDI。3Gの巻き取りについて、高橋誠社長は「順調」と話す
3G終了まで1年を切ったKDDI。3Gの巻き取りについて、高橋誠社長は「順調」と話す
(出所:KDDI)
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 KDDIは3G契約数を公表していないものの、現時点で1000万件を下回っているもようだ。KDDIの担当者によると「21年は3G終了に向けた総仕上げの1年。順調な移行が進んでいる」と打ち明ける。

 同社は14年の段階で、音声通話に3Gの回線交換網を使わないVoLTE対応端末を投入し、早期の3G終了を念頭に置いた端末戦略を進めてきた。その背景には、同社が3Gで採用しているCDMA2000方式が、今や世界的にもマイナーな通信方式になっているという事情もある。

 ここ数年、KDDIは3G対応端末を無料で4G対応スマホに交換するキャンペーンを展開している。その結果、19年4〜6月期の連結決算では、3G巻き取り強化に伴って減益を記録した。

 KDDIにとって3G巻き取りの最後のハードルは、3G契約者が使い慣れた端末からいかに新たな端末に乗り換えてもらうか。KDDIによると、残っている3G契約は「モジュール契約よりもハンドセット契約のほうが多い」という。当初はモジュール契約の移行が最大の課題になると想定していたが、こちらは順調に移行が進み、「残っているのはシニアの契約者が多い。シニアの契約者は使い慣れた携帯電話を継続して利用したいという傾向がある」と続ける。

 KDDIは料金面で3G契約と同水準となる4Gプランも提供している。既に料金面のネックは無くなっている。使い慣れた端末の乗り換えという一筋縄ではいかない課題をいかに乗り越えるかが、終了まで残り1年を切ったKDDIが直面する状況と言える。