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 「楽天(モバイル)はエリアを非常に速いスピードで広げると言ってみたり、半導体(不足)で少し遅れると言ったり、ローミング(相互乗り入れ)費用が高過ぎるなど、いろいろなことを言う。ちょっとどうかと思う」。KDDI社長の高橋誠氏は2021年10月29日に開いた決算会見で、楽天モバイル(以下、楽天)の最近の言動に対してこう漏らした。

楽天モバイルの最近の言動に「ちょっとどうかと思う」と漏らした、KDDI社長の高橋誠氏
楽天モバイルの最近の言動に「ちょっとどうかと思う」と漏らした、KDDI社長の高橋誠氏
(撮影:日経クロステック)
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 KDDIは、楽天に対しローミングでネットワークを提供している間柄だ。その楽天は21年10月以降、KDDIとのローミングの終了を39都道府県の一部地域に大幅拡大すると明らかにした。楽天のローミング終了について高橋氏は「(ローミングを打ち切った地域でも)思った以上に楽天が引き続き貸してほしいという基地局数が多い。結構大変なのではないか」と語った。

 実はKDDIにとって楽天からのローミング収入は、携帯料金の引き下げによる減収トレンドをプラスに転じるうえで大きなウエートを占める。実際、21年4~9月期の営業利益は値下げの影響により、auとUQモバイル、povoのマルチブランド通信ARPU(契約当たり月間平均収入)で前年同期比304億円の減益影響があった。しかし楽天からのローミング収入やビッグローブなどグループMVNO(仮想移動体通信事業者)収入で同422億円の増益効果があり、トータルのモバイル通信料収入では同117億円の増益要因となった。

 楽天の大規模なローミング終了は、KDDIのモバイル通信事業の収益構造に影響を与える可能性があった。だが高橋氏が打ち明けた通り、楽天は当初KDDIが想定した以上の基地局数を借り続けているという。高橋氏は「21年度のローミング収入は想定よりも増える」との見通しを示した。

 KDDIが直面する個人向け事業(パーソナルセグメント)のID数の減少トレンドも、「モメンタム(勢い)がかなり回復してきた」(高橋氏)。

 21年7~9月期のパーソナルセグメントのモバイルID数は、4~6月期比で2万件の減少にとどまった。4~6月期は、1~3月期比で12万5000件も減っていた。「0円から始まる楽天の階段型のプランによる影響があったのは間違いない」と高橋氏は語る。21年6月に投入したUQモバイルの電気サービスとの格安セットプランと、21年9月に投入した基本料金0円から利用できるオンライン専用プラン「povo2.0」によって、「我々のところにとどまる人が増えてきた。足元では(ID数は)プラスに転じた」(高橋氏)という。

 povoの契約数は100万件を突破した。21年9月時点で約90万件としていたため、povo2.0を投入後、1カ月ほどで約10万件増やした形になる。