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 新たな携帯電話の電波割り当て方式として、オークション方式の導入是非が論点になっている。総務省の有識者会議にて2021年11月30日、国内携帯4社の意見が出そろった。ソフトバンクはこの日、オークション方式の導入について条件付きながら容認する意見を表明。楽天モバイルは反対の意見を示した。先のヒアリングでオークション方式に賛成を表明したNTTドコモと、態度を明確にしなかったKDDIと合わせて4社で意見が分かれた格好だ。

ソフトバンク「オークション方式も否定しない」

 ソフトバンク社長執行役員兼CEO(最高経営責任者)の宮川潤一氏は21年11月30日に総務省で開催された「新たな携帯電話用周波数の割当方式に関する検討会(第3回)」に出席し、今後の携帯電話の割り当て方式として条件付きながらオークション方式を容認する姿勢を示した。

ソフトバンクは現行の比較審査方式を支持するものの、オークション方式についても条件付きながら容認する意見を表明した
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ソフトバンクは現行の比較審査方式を支持するものの、オークション方式についても条件付きながら容認する意見を表明した
(出所:ソフトバンク)

 「電波があらゆる産業の礎になる時代、(現行の電波割り当て方式である)比較審査方式の方が国民にとって有益だ。ただし周波数帯ごとの特性を加味し、エリア整備義務の有無や品質要件、免許期間などを考慮するのであればオークション方式も否定しない」(同氏)。

 宮川氏は、現行の日本の電波割り当て方式である比較審査方式について、諸外国で進むエリア整備義務などの条件を課したオークション方式とほぼ変わらないという認識を示した。その上で、直近の日本の割り当て方式に取り入れられた、電波の経済的価値を反映する評価項目である特定基地局開設料の水準がオークション方式を実施する諸外国と比べても高額であると指摘。抑制が必要とした。

 楽天モバイル社長の山田善久氏は、「現行方式は諸外国のオークション方式と基本的に同じという認識。その現行方式で公正競争が進んでいるのにもかかわらず、前提を崩してまで純粋なオークション方式に近づけようというメリットが分からない」と指摘。資金力の大きな事業者に周波数が集中する弊害がある段階では「オークション方式に強く反対」(同氏)という意見を示した。

楽天モバイルは純粋なオークション方式は弊害の懸念があるとして、強く反対という意見を示した
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楽天モバイルは純粋なオークション方式は弊害の懸念があるとして、強く反対という意見を示した
(出所:楽天モバイル)