「正直言って値下げは、各キャリアともに一息ついた段階だと思う。顧客の期待に応えられたのではないか。これからは成長の真ん中である5G(第5世代移動通信システム)の展開に軸足を移す」。2022年1月28日に開催したKDDIの決算会見で、同社社長の高橋誠氏はこのように語った。
過去1年間、国内携帯電話各社は、政府の強い意向を受けて割安なプランをこぞって投入してきた。KDDIも21年6月に投入したUQモバイルブランドの電気サービスとの格安セットプランや、21年9月に投入した基本料金0円のオンライン専用プラン「povo2.0」など、割安なプランを立て続けに市場投入した。
こうした値下げの業績への影響について、KDDIは期初に600億〜700億円とアナウンスしてきた。だがここに来て高橋氏は「額は開示できないが、この額はもう少し膨らんできている」と打ち明ける。
高橋氏は、ICT総研が22年1月24日に発表した、「スマートフォン料⾦と通信品質の海外⽐較に関する調査」についても触れた。同調査は、日本と米国、英国など主要6カ国の通信料金プランの平均を比較したものだ。日本は2Gバイト/5Gバイト/20Gバイト/無制限プランのいずれにおいても、6カ国中で最安値となった。
高橋氏はこの点について「値下げについては一定の成果が出たのではないか。これからはむしろ成長のど真ん中である5Gの投資に力を入れたい。22年度は料金が下がった分を5Gで取り返す重要な年になる」とした。