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 楽天グループが22年2月14日に発表した21年1〜12月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高は前年比15.5%増の1兆6817億円と増収になったものの、携帯電話事業の先行投資が響き1947億円の営業損失を計上した。純損益は1338億円と過去最大の赤字となった。同社代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は「携帯電話事業は自社回線エリアの拡大で(自社エリア外でKDDIの回線を利用している)ローミング(相互乗り入れ)エリアを順次縮小する。22年第2四半期(4〜6月)以降、業績回復を見込んでいる。歴史的に類を見ない短期間での黒字化を目指しており、将来的な収益貢献は非常に大きくなる」と強気の姿勢を崩さなかった。

「22年第2四半期以降、(携帯電話事業の)業績回復を見込んでいる」と話した楽天グループ代表取締役会⻑兼社⻑の三木谷浩史氏
「22年第2四半期以降、(携帯電話事業の)業績回復を見込んでいる」と話した楽天グループ代表取締役会⻑兼社⻑の三木谷浩史氏
(出所:会見の様子をキャプチャー)
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 自社回線エリアの展開加速に伴って、同社モバイルセグメントの営業損失は四半期ごとに拡大を続けている。21年第4四半期(10〜12月)の同セグメントの営業損失は、四半期で過去最大の1186億円に達した。

モバイルセグメントの損失は21年10〜12月期に1186億円まで拡大
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モバイルセグメントの損失は21年10〜12月期に1186億円まで拡大
(出所:楽天グループ)

 楽天モバイル代表取締役社長の山田善久氏は、「モバイルセグメントの損失は22年第1四半期(1〜3月)をボトムに収益改善を見込んでいる」と説明する。理由として山田氏は、無料キャンペーン終了に伴う課金対象利用者の増加と、自社開発した仮想化基盤を外販する楽天シンフォニー事業の売り上げ拡大、そして自社エリア拡大に伴うKDDIに支払うローミング費用の減少の3点をあげた。

 同社は22年2月4日、当初計画から4年前倒しで自社で展開する4Gネットワークの人口カバー率が96%に到達したことを発表した。確かに自社エリアが広がることで、同社の財務の悪化を招いているKDDIとのローミングの早期打ち切りが可能になる。三木谷氏は「100億円単位でローミング費用が減っていく」と打ち明けた。