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 NTTドコモが2022年度に販売店「ドコモショップ」を100カ所程度減らす方針であることが分かった。2月22日に開いた販売代理店向け説明会で明らかにした。100店舗に及ぶ大幅削減は初めて。2021年度に続いて各種手数料の削減拡大なども示され、販売代理店からは悲鳴の声があがっている。

NTTドコモが「ドコモショップ」を大量閉店する方針を打ち出したことで、ショップを運営する販売代理店から悲鳴の声があがる
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NTTドコモが「ドコモショップ」を大量閉店する方針を打ち出したことで、ショップを運営する販売代理店から悲鳴の声があがる
(撮影:日経クロステック)

早期撤退を促す“肩たたき”も

 販売代理店によると、ドコモは自ら保有する「モバイル空間統計」のデータを活用し、顧客の行動範囲から全国を619の商圏に分類。個々の商圏における販売状況や収益環境、競争力、顧客の動線などを考慮しながら店舗の統廃合を検討していくもようだ。4月から販売代理店に相談するとしており、候補はリストアップ済みの可能性が高い。

 2022年度に100店舗削減ならまだしも、3月2日には「文春オンライン」が「NTTドコモがドコモショップ400~500店舗の閉店を計画」と報じた。ある販売代理店幹部は「2月22日の説明会では『2023年度以降も顧客の来店状況などを踏まえ、継続して最適な店舗網を目指していく』とのことだったが、恐らくこの報道が現実なのだろう。ドコモの販売代理店は(2021年度実施の各種手数料削減などで)ただでさえ厳しい状況にあり、大きな痛手となる」とうなだれる。

ドコモショップの店舗数の推移。現在は約2300店舗となっている。
ドコモショップの店舗数の推移。現在は約2300店舗となっている。
(出所:NTTドコモ)
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 さらに販売代理店が驚いたのは、10月以降は店舗運営権の譲渡を認めないとした点だ。「これまで大手やファンドを中心に販売代理店のM&A(合併・買収)が繰り返されてきたが、今後はできなくなる。中小の苦しい販売代理店に早期撤退を促す“肩たたき”のように映る」(ある販売代理店)。ドコモは2023年3月末までの譲渡案件に限り、2022年9月末までは申請を受け付けるが、「あと半年程度で決断しなければならない。せめて1年間は猶予期間を設けてほしかった」(同)。

 ドコモショップを減らす一方、2月22日の説明会では低コストで運営可能な販売特化型店舗を増やしていく方針も打ち出された。具体的な説明まではなかったが、駅前商店街やショッピングモールなどにサテライト店を設け、効率化した稼働を目指すという。ドコモは2021年度から商業施設や公民館などでの出張販売を強化してきた。「ドコモショップでただ待つのではなく出張販売で顧客を取りに行け」と店舗の評価制度にも組み込んだが、販売代理店はヘルパーの手配などで手間やコストが増えるばかり。これをさらに強化する施策とみられ、多くの販売代理店がげんなりした。