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 楽天モバイルはKDDIから提供を受けているローミング(相互乗り入れ)の打ち切り地域を全国47都道府県の一部地域に拡大すると2022年4月4日に発表した。2021年10月時点ではローミングの打ち切り対象を39都道府県の一部地域としていたが、今回残りの8県も対象に加えた。同社は基地局の整備を急ピッチで進めており、4Gネットワークの人口カバー率は2022年2月末時点で96.7%に達した。これまで重荷となっていたローミング費用の軽減に向けて順調に進捗しているように映る。

 ただローミングの利用が意外に長引きそうな気配がある。例えば楽天モバイルがこれまで「2022年3月末で原則終了」としていた千葉県と神奈川県。KDDIが2022年4月4日にWebサイトで公表した情報によると、「楽天モバイルからの要望によりローミング提供を継続(終了時期未定)」となっていた。日経クロステックの集計では、楽天モバイルがこれまで2022年3月末で原則終了としていた市町村の約8割で、2022年4月以降もローミングを延長していることが明らかとなった。

「2022年3月末で原則終了」としていた千葉県と神奈川県はローミングを延長した
「2022年3月末で原則終了」としていた千葉県と神奈川県はローミングを延長した
(画像出所:KDDI、赤線は日経クロステックが追記)
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「保険」で多めに残した?

 楽天モバイルは2021年3月末に東京都でローミングを終了済み(山間部や島しょ部などの一部を除く)。2022年3月末には千葉県と神奈川県でローミングを原則終了する予定だった。しかし、KDDIが公表する「楽天モバイル向けローミングサービス提供エリア」によると、千葉県の45市町、神奈川県の27市町村は「一部提供中のエリア」として残っていた。ローミングの利用は続くもようだ。

千葉県における2022年4月以降のローミング利用状況(オレンジ色の部分)
千葉県における2022年4月以降のローミング利用状況(オレンジ色の部分)
(出所:KDDI)
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神奈川県における2022年4月以降のローミング利用状況(オレンジ色の部分)
神奈川県における2022年4月以降のローミング利用状況(オレンジ色の部分)
(出所:KDDI)
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 2022年3月末で原則終了と予告していた地域は、千葉県と神奈川県以外にもあった。埼玉県と新潟県、静岡県、愛知県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、広島県、愛媛県、福岡県の計147市町村である。これらについてもKDDIのWebサイトで確認したところ、117市町村で「一部提供中のエリア」となっていた。前述の千葉県と神奈川県を含めると、楽天モバイルは2022年3月末で計234市町村でローミングを原則終了するとしていたが、実際にはその約8割に相当する189市町村で2022年4月以降もローミングを継続する。

2022年3月末に原則終了としていた市町村が今回の発表でどうなったかを調べた結果
KDDI公表の「楽天モバイル向けローミングサービス提供エリア」の情報を基に集計した
府県名「2022年3月末に原則終了」としていた市町村今回、延長した市町村今回、終了した市町村
埼玉県614615
千葉県54459
神奈川県33276
新潟県110
静岡県220
愛知県321
滋賀県110
京都府330
大阪府41374
兵庫県770
奈良県241410
広島県110
愛媛県110
福岡県220
合計23418945