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 KDDI代表取締役社長の高橋誠氏は2022年5月13日に開催した決算会見において、基本料金0円で提供している同社の料金プラン「povo2.0」について、「やめる理屈はない。今のところ大きく変更する予定はない」と語った。同日午前に楽天モバイルが0円から利用できる料金プランを廃止すると発表。同じく0円から利用できるプランを提供するKDDIに注目が集まっていた。

0円プランを「やめる理屈はない」と語ったKDDI代表取締役社長の高橋誠氏
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0円プランを「やめる理屈はない」と語ったKDDI代表取締役社長の高橋誠氏
(出所:KDDI)

 高橋氏はpovo2.0について、「やっていてものすごく面白い。これまでの料金プランは契約をいただいてから顧客と向き合うのが2年後などだった。povoの場合、契約後にどんどん顧客に対してアプローチしていかないと(有料のオプションである)トッピングをしてもらえない。顧客を見ていろんな取り組みをできる点がすごく面白い」と語った。

「5Gをど真ん中に」「通信ARPU収入反転」、新中期経営戦略も発表

 KDDIは同日、22年度から24年度にかけての3カ年の中期経営戦略を発表した。5G(第5世代移動通信システム)を核に、DX(デジタルトランスフォーメーション)や金融、エネルギー、地域共創など5つの注力領域を定義。5G推進により、25年3月期のauとUQモバイル、povoのマルチブランド通信ARPU収入を22年3月期比較でプラスへと引き上げるほか、5つの注力領域で1000億円以上の利益成長を目指すといった内容だ。中期経営戦略期間中に5Gや注力領域へ1.3兆円規模の設備投資も図る。

DXや金融、エネルギーなど5つの注力領域を定義した
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DXや金融、エネルギーなど5つの注力領域を定義した
(出所:KDDI)

 中期経営戦略について高橋氏は「もう一度、5Gをど真ん中に置いた経営をする。値下げの影響もあるが(通信自体を)右肩上がりにしていきたい。5Gを中心に通信が溶け込む領域として、DXや金融、エネルギーなど注力領域を定めた」と話した。中期の最終年度である25年3月期には、同社の一般消費者の契約に占める5G契約浸透率を8割まで高める計画だ。

25年3月期に5G契約浸透率80%を目指す
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25年3月期に5G契約浸透率80%を目指す
(出所:KDDI)

 同日発表したKDDIの22年3月期の連結決算(国際会計基準)は売上高が前年比2.5%増の5兆4467億円、営業利益が同2.2%増の1兆606億円の増収増益だった。法人や非通信といった成長領域が利益成長をけん引した。