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 菅義偉前首相が推進した携帯電話料金の引き下げ圧力に伴い、近年業績の落ち込みが目立っていたNTTドコモとKDDI、ソフトバンクの携帯大手各社。だが2022年11月に各社が発表した2022年4月〜9月期の業績を見ると値下げ影響が底打ちしつつあり、来期以降反転する兆しが見えてきた。携帯大手各社は、官製値下げの影響を乗り越えつつあるのか。

 「ようやく魔の3年の終わりが見えてきた」――。

 ソフトバンク代表取締役社長執行役員兼 CEO(最高経営責任者)の宮川潤一氏は2022年11月に開催した2022年4月〜9月期の業績説明会で、このような安堵の声を挙げた。

「値下げによる影響は今後、大幅に減少していく」と語ったソフトバンク代表取締役社長執行役員兼 CEO(最高経営責任者)の宮川潤一氏
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「値下げによる影響は今後、大幅に減少していく」と語ったソフトバンク代表取締役社長執行役員兼 CEO(最高経営責任者)の宮川潤一氏
(出所:ソフトバンク)

 同社は2021年春に実施した料金引き下げに伴って、2021年度に対前年770億円減という業績への影響を受けた。2022年度は対前年900億円減を予想し、今期最も値下げの影響を受けるとする。

 ただ四半期ベースで見ると、値下げによる影響が底を打ちつつあることが分かった。値下げに伴う業績への影響額(対前年)は2021年度第4四半期に最大となって以降、2022年度第1四半期、第2四半期と影響額が縮小していることが見えてきたからだ。宮川氏は「第2四半期は対前年で240億円減まで値下げ影響が縮小している。今後、大幅に縮小していくので、(値下げによる業績への影響は)ご安心していただきたい」とした。

四半期ベースで見ると値下げによる業績影響は縮小しつつあるという
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四半期ベースで見ると値下げによる業績影響は縮小しつつあるという
(出所:ソフトバンク)

 「今年度(2022年度)中にARPU(契約当たり月間平均収入)は4000円程度に下げどまるのではないか」――。NTTドコモ社長の井伊基之氏も2022年11月に開催した2022年4月〜9月期の業績説明会で、値下げ影響が今期で底を打つ見通しを示した。

「今年度中にARPUが下げ止まる」という見通しを示したNTTドコモ社長の井伊基之氏
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「今年度中にARPUが下げ止まる」という見通しを示したNTTドコモ社長の井伊基之氏
(出所:NTTドコモ)

 携帯電話事業の収入は、ID(契約数)×ARPUの掛け算がベースになる。NTTドコモの2022年4月〜9月期の値下げによる影響は対前年で500億円減となった。それに伴って同社の2022年4月〜9月期のARPUは、前年比140円減の4060円に落ち込んだ。

中大容量プランの契約が好調な点がARPUを押し上げているという
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中大容量プランの契約が好調な点がARPUを押し上げているという
(出所:NTTドコモ)

 ただ四半期ベースでみると同社の2022年7月〜9月期のARPUは4080円と、2022年4月〜6月期から50円増とプラスに転じた。ID×ARPUに相当するモバイル通信サービス収入も2022年7月〜9月期は6533億円と、2022年4月〜6月期と比べて81億円増となった。井伊氏は「映像を見る人が増えており、中大容量プランへの加入が継続的に伸びている。人口が増えるわけではないので、ARPUを上げていくことが当社の事業上の大事な戦略だ。4000円のARPUについては、この辺りで下げ止まりと言ってみたかった。思えば願いはかなうのではないか」と話した。

 KDDI社長の高橋誠氏も2022年11月に開催した2022年4月〜9月期の業績説明会で、「引き続き今年度(2022年度)のARPU底打ちを目指す」と語った。

KDDI社長の高橋誠氏も「今年度中のARPU底打ちを目指す」と語った
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KDDI社長の高橋誠氏も「今年度中のARPU底打ちを目指す」と語った
(出所:KDDI)

 同社が2022年7月に起こした大規模通信障害による顧客離れも懸念された。しかし高橋氏は「8月以降は店頭も落ち着き、従来の新規契約が戻ってきている。ID数についても第2四半期は減り止まり、8月9月で取り戻した」と打ち明けた。

返金影響を除くとマルチブランド通信ARPUは四半期ベースでプラスに転じている
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返金影響を除くとマルチブランド通信ARPUは四半期ベースでプラスに転じている
(出所:KDDI)

 同社の2022年4月〜9月期の値下げによる影響は対前年539億円減となった。2022年7月〜9月期のARPU(マルチブランド通信ARPU)は3920円と、2022年4月〜6月期から50円減となった。しかし大規模通信障害による返金影響を除くと10円増であり、ARPU反転の兆しが出てきている。