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実態は移動ロボットの開発

 ただし、センサーを増やすだけ、あるいはAIだけといった要素技術だけを見ていたのではより高精度な自動運転システムは作れない。重要なのは、自動運転システムとはロボット、特に「移動ロボット(Mobile Robot)」であるという視点である(図5)。その中で自動運転には必要だと思われるのが、(i)地図と自己位置推定技術、(ii)周辺環境認識技術、(iii)走行軌道生成と車両制御技術、(iv)ヒューマン・マシン・インターフェース、の4点だ。

図5 市街地における自律型自動運転に必要な技術
図5 市街地における自律型自動運転に必要な技術
(図:金沢大学)
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 まず(i)の地図と自己位置推定技術は、冒頭で最近の自律型自動運転を成立させるための3大技術の1つにも挙げた。今、研究開発されている自律型の自動運転システムの多くは、地図を活用することが一般的になっている。もっとも、地図に100%依存するタイプもあれば、参考情報にとどめて、自分で考えながら走るタイプもある。いずれのタイプでも、地図に基づく自動運転をする上でまず考えておくポイントが幾つかある(図6)。

図6 自己位置推定の課題
図6 自己位置推定の課題
(図:金沢大学)
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 1つめは、そもそも地図をどのように用意するか、である。一口に地図といっても、自動運転に使うためには、現実の交通環境と精密に一致している必要がある。最初に広い範囲を走ろうと思えば、その広い範囲の地図の生成が求められる。しかも交通環境自体がどんどん変わっていく。そのため、地図を一度作成したら終わりではなく、必ず更新が必要になる。この地図の生成と更新に、人手をかけると多大なコストがかかる。一方、自動化する場合、どのようにデータを最新に保ちつつ自動的に更新するかが、大きな技術開発の要素になる。

 2つめのポイントは、用意した地図の中で自分がどこにいるのかを精密に知る技術だ。これが分からないといくら精密な地図を用意しても役には立てられない。