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 5Gにまつわるモヤモヤの解消を目指す本特集。3回目は、スマートフォンの画面上に表示されるアンテナマーク「アンテナピクト」のナゾに迫る。

 待ち受け時のピクト表示は確かに「5G」だった。ところが、その場でデータ通信を開始した途端に「4G」表示に変わってしまった――。5Gスマホを日々使っていると、そんな不思議な現象に遭遇することが時折ある。一体何が起こっているのか。

 最大手NTTドコモのWebサイトで「5Gのご契約とご利用機種に関するご注意事項」を確認したところ、次のような断り書きがあった。「5G通信の可能性のあるエリア内で、待受時のRAT表示(編集部注:ピクト表示のこと)は『5G』となりますが、通信時は『4G』または『LTE』となる可能性があります。※仕様であり、故障ではありません」

 禅問答のようにも見えるが、この説明のなかにナゾを解く鍵がある。よく読むと「5G通信の『可能性のある』エリア内」とある。つまり、必ず5Gで通信できると言えない場所であっても「5G」とピクト表示される場合がある、との意味だろう。それが5Gサービスの「仕様」なのだという。

 実はこの仕様はNTTドコモだけでなくKDDI(au)やソフトバンク、楽天モバイルにも共通する、現在の5Gの基本的な仕組みに起因するものだ。

現在の5Gネットワークの仕組み
現在の5Gネットワークの仕組み
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 5Gの商用サービスは今のところ、4Gとセットでなければ稼働できない仕組みになっている。通信を制御する信号を4Gネットワーク経由でやり取りし、データ本体を5Gネットワークで送る構造だからだ。

 具体的には、5G端末は待ち受け時に4G基地局との間で制御信号をやり取りしている。この際、4G基地局は端末に対して「近くに5Gの基地局がある」ことを知らせている。業界の取り決めに従って、5G端末のピクト表示はこの段階で「5G」となる。

 そして端末は通信開始のタイミングで5Gの基地局に接続する。ただし、場所によっては電波が弱く接続できないケースも出てくる。すると端末は4Gの基地局に接続してデータ本体を送るため、ピクト表示も「4G」に切り替わる。こうした一連の動きによって冒頭の「待ち受け時のピクト表示が『5G』でも通信時には『4G』に変わる」現象が生じるというわけだ。