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 新型コロナウイルスワクチン接種の準備に当たり、政府と自治体は情報共有にSNS(交流サイト)をフル活用している。ある自治体職員は「これまでよりも政府は自治体の声を聞こうとしているようだ」と話す。ただ、政府と自治体の情報共有サイトはすでに乱立状態だ。行政のデジタル化に向けて必要となる自治体間や自治体と政府のコミュニケーションは果たして改善されるのか。

「特別定額給付金業務の二の舞いにはしない」

 2020年10月末、全国20の政令指定都市でつくる指定都市市長会は内閣府と総務省に対し「行政のデジタル化に関する指定都市市長会緊急提言」を行った。行政のデジタル化を進めるに当たって、政府と自治体の議論の場を設ける要望が柱だ。

 提言の背景にあるのは、2020年春の新型コロナ対策での「敗戦」の記憶だ。例えば全国の自治体が忙殺された特別定額給付金の業務。国がトップダウンで枠組みを決め迅速な給付を求めて発破をかけたものの、具体的な作業や運用は自治体任せになってしまった。政府と自治体のコミュニケーションの欠如が浮き彫りとなり、結果的に自治体の現場には国への不満が残った。

 「特別定額給付金業務の二の舞いにはしない」――。2021年4月12日から全国自治体で始まる新型コロナワクチン接種業務に当たり、政府も自治体も過去の反省から、その「溝」を埋めるべく、丁寧なコミュニケーションを心掛けてきた。

 そのひとつがFacebookグループ「デジタル改革共創プラットフォーム(β版)」である。政府が2020年12月中旬から活用している。ワクチン接種記録システム(VRS)などのワクチン接種の準備に当たり、自治体担当者と意見交換をするオンライン上の場だ。内閣官房の情報通信技術(IT)総合戦略室(以下IT室)が中心となって開発を進めている。

 ワクチン接種準備を担当する、ある自治体職員は「頻繁に見ていて、参考になるものもある。自身で書き込むこともある」と話す。また別の自治体職員は「VRSのほか、デジタル庁の人材の在り方などを議論している」と明かす。

 ただ2021年4月現在、Facebookグループは暫定的な利用にとどまっており、職員が個人のアカウントを使っている。そのため、業務中の利用が難しく、セキュリティー上、役所内のネットワークから利用できない場合がある。

 そこで、「デジタル庁の初めてのプロジェクトである」と平井卓也デジタル改革担当大臣が意気込む、デジタル改革共創プラットフォームのWebサイトを開発中だ。行政機関専用のLGWAN(総合行政ネットワーク)からアクセスできるようにするため、各自治体は業務として利用できる。