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安全在庫

【あんぜんざいこ】想定外の欠品を防ぐための予備の在庫。需要変動および補充期間の不確実性を吸収するために持っておく。

 安全在庫とは、発注品の納入が遅れたり、予定外の出荷が生じたりしたときのための予備の在庫である。在庫の消費が計画通りであれば使われない。JIS(日本産業規格)では、次のように定義している

* JIS Z 8141:2001 生産管理用語

安全在庫:需要変動また補充期間の不確実性を吸収するために必要とされる在庫

 そもそも在庫管理とはどのようなものか。幾つかの手法があるが、ここでは代表的的な「発注点管理」を例に説明しよう。発注点管理は、在庫量があらかじめ設定した数量(発注点)を下回ったら、追加の生産や調達を発注する手法(図1)。発注点は、納入リードタイムの在庫減少量と、安全在庫を足した数量である。

図1 安全在庫のイメージ
図1 安全在庫のイメージ
在庫管理が「発注点管理」の場合について、在庫量の推移を青色線で示している。在庫は一定ペースで減ると仮定した。発注すると、一定期間のリードタイム(納期)後に、在庫量が元に戻る。在庫量は常に安全在庫より多い。(出所:菅野善寛)
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 在庫量の減少ペースが想定通りであれば、安全在庫を下回らない。このとき、安全在庫は一見すると無駄な存在である。しかし、何らかの要因で需要が急増したり、納入リードタイムが長引いたりすると欠品しかねない。その際、安全在庫が、いわゆるバッファーの役割を果たし、欠品を防いでくれる(図2)。

図2 想定外の需要があった場合
図2 想定外の需要があった場合
計画よりも急に需要が増える場合を示した。リードタイムがあるので、慌てて発注しても在庫量はすぐに増えない。安全在庫があると安心だ。(出所:菅野善寛)
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 ここで、安全在庫の必要性と欠品のリスクについて触れておこう。在庫の変動要因には、大きく分けて次の2つがある。販売・保守部門が気にすべき「消費需要による在庫変動」と、調達・生産部門が気にすべき「生産活動による在庫変動」である。それぞれ安全在庫の目的が異なる()。同じ品番の同じ形状の部品を在庫に持つとしても、修理・保守向けのサービスパーツなのか、製造部品なのかによって意味が変わり、安全在庫のレベルも違ってくる。

表 需要変動と安全在庫の関係
変動要因が異なると、安全在庫の目的も変わる。(出所:菅野善寛)
在庫変動の要因 関係部門 安全在庫の目的 安全在庫の効果
消費需要による在庫変動 販売・保守 欠品による機会損失を防ぐ メリット: 販売機会の確保・サービスレベルの向上
デメリット:
過剰在庫による売れ残りのリスク・管理コストの増大
生産活動による在庫変動 調達・生産 部品・材料不足による生産停止を防ぐ メリット: 調達遅延などが生じても当面の生産を継続できる
デメリット:
調達・管理コストの増大、5S活動の妨げなど